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音楽ビギナー、インド音楽を習いたい その1
はじまりは
のっけから大きなタイトル、そうそうブログを始めたきっかけはこれを書きたかったからなんだよね、と思いながら、かと言ってうーん、何から書けばいいんだろうと悩んでかれこれ数日。
こうしていたらこのままずっと記事を書かないだろうなと思い、今日もえいやっと書いてみる。
数年前から、縁あってカタックという北インドの古典舞踊を習っている。
国土の広いインドには数多くの芸能が存在し、カタックはその中でも北インドの宮廷舞踊として発展し、伝承されてきた舞踊だ。
(カタックについては追々しっかり紹介したい。)
そのカタックの伴奏として関わってくるのが北インド古典音楽。
あのビートルズに奏法を伝授したシタール奏者、ラヴィ・シャンカル(Ravi Shankar)の名前は聞いたことがあるかもしれない。
Norwegian WoodやWithin You Without Youで使われている、びよんびよんとしたあの音色の楽器だ。
シタールやそのほかメロディー楽器の旋律と、タブラーに代表されるようなリズム楽器の伴奏とでパフォーマンスされるカタック。
曲を覚えたり、深く背景を理解するためには振り付けだけではなく、音楽についての知識もあることが望ましい。
踊りを学ぶ人間の端くれとして、音楽を学ばなければ!
……といった真面目な理由ももちろんあるのだけど、実は踊りとは別にずっと前からインド音楽が気になっていた。
インド音楽とのほんとの出会い
初めてシタールの音色を聴いたときは、正直言って何が良いのかさっぱりわからなかった。(もちろんシタール以外にもたくさんの楽器があるのだけど、その頃はシタールぐらいしか知らなかった。)
ミーハー心でインド音楽のCDを買ってみたものの、「1曲」が50分ぐらいある、え、長すぎない!?とCDジャケットの収録曲紹介を見て絶句した。
ちょっと聴いてみたものの、CMやドラマの効果音で使われている「チャララララ~ン」の怪しげな音に一目ぼれすることはできなかった。
そんな感じで音楽とは無縁なまま過ごしていた学生時代、ちょうど今、世の学生たちが立ち向かっているであろう卒論を執筆している時期に、転機が訪れた。
究極の先延ばし人間である私はクリスマス、正月返上で年明けにある提出締め切りまで、日夜卒論に追われまくっていた。巷に溢れる作業用BGMとコーヒーの力を借りて過ごしていたように思う。
ある日、大学の先輩から「この音楽家の演奏、かっこいいよ」と紹介してもらったミュージシャンのライブ映像をYoutubeで聴いてみた。
「チャララララ~ン」のトラウマにも拘らず、ちゃんと勧められたものを聴いてみたあたり、恐らく疲労で意識も朦朧としていたのだろう。
その演奏家の名は、Amjad Ali Khan(アムジャド・アリー・ハーン)。
彼は、シタールではなく、アフガニスタンの民族楽器ラバーブ(ルバーブとも)に由来するサロードという楽器を演奏する。
導入部分のゆっくりとしたペース(眠くなる)から、徐々に徐々にテンポを上げ、途中で加わったパーカッションとともにクライマックスに向けて種々の技巧を凝らしていく。そして、最後は音の嵐のような盛り上がりを見せて、1曲の演奏を終える。パタッと音が途切れた瞬間の文字通りの余韻。そして、爆発するような聴衆の拍手。
そんな演奏を論文を書きながら聴いていたら、いつの間にかその楽器の渋みに、そして演奏の心地よさにハマってしまったよう。
特に、クライマックスに向かっていく演奏に一緒に「乗った」時には、面白いことにキーボードを叩くスピードもノリノリになっていた。
同じ演奏を繰り返して聴いたり、Amjad Ali Khanの違う演奏、そして違う演奏家の動画を(相変わらずBGMとして流しながら)聴き比べてみると、どうやら次のルールのようなものがあるらしいと気が付いた。
・同じようなリズム、メロディパターンを何度も繰り返す箇所がある
・演奏家が口でメロディー、リズムを言った後に、それと同じように楽器で演奏をして見せるシーンがある
・メロディー楽器(シタールやサロードなど)と、リズム楽器(タブラーなど)が、交互に演奏をする。(追いかけっこみたい)
・しかも、前の楽器が演奏したのと同じように異なる楽器で真似をし合っている。
・やたらに強調される音のポイントがあり、そこに演奏が「キマる」と大拍手が起こる
こんな感じ。
ちなみに、この記事のタイトルの通り私自身は音楽の経験はゼロ。学校の合唱が好きだった程度で、音楽の教科の評価は5段階中の最高3。楽譜も読めないのでリコーダーの運指を暗記してなんとか成績を保っていたレベル。なので、上の分析もかなりアバウト。
インド音楽の第一印象であった怪しい感じも、曲によっては怪しいものもあるけど、ノリノリになれるもの、しっとり聴けるもの、明るい気分になるものなど色々あることが分かった。
ほんの少しだけインド音楽の楽しみ方を分かった気がしたけれど、正しい聴き方ではないんだろうなあ、あの盛り上がりのポイントは、いったい何だろう、もっと楽しむ秘訣を知りたいなあ。そんなことを考えながら過ごしていた。
(続く)
おまけ:短くて聴きやすい、Amjad Ali Khanの演奏をご紹介。
あのパキスタン出身のマララ・ユスフザイさんのノーベル平和賞受賞式典で記念パフォーマンスをした時の、華やかな演奏。2人の息子との見事な速弾き共演も圧巻。
4分26秒ぐらいから例の追いかけっこ奏法が聴けます。
”Nobel Peace Prize Concert - Amjad Ali Khan, Amaan Ali Bangash and Ayaan Ali Bangash”
https://www.youtube.com/watch?v=Dv5hdYNiPLU
補足説明
ちなみに、このブログの中で「曲」と言っているものは、後に、北インド古典音楽の中でRaga(ラーガ)というものを指していると学んだ。
ラーガは、厳密には私たちの知っている曲という概念とは異なり、音楽のルール上で定められた音階のみを使った、旋律のシステムのこと。
しかも、決まった定型のラーガがあるわけではなく、すべての演奏において即興演奏であることが前提になっている…!
……など、また補足欄で長くなってしまいそうなので、「ふーん、曲とはちょっと違った考え方なのね」とだけ覚えておいてください。