
2023.9.13 精神状態がいい時に見る『愛がなんだ』
映画『愛がなんだ』をやっと見れた。
公開当時、見たら傷つきそうと思って見れなかった映画。今ならこんなこと私もにあったわ、なんて他人事で見れる!
ネタバレ有りで感想
猫背でひょろひょろのマモちゃん(成田凌)に出会い、恋に落ちた。その時から、テルコ(岸井ゆきの)の世界はマモちゃん一色に染まり始める。会社の電話はとらないのに、マモちゃんからの着信には秒速で対応、呼び出されると残業もせずにさっさと退社。友達の助言も聞き流し、どこにいようと電話一本で駆け付け(あくまでさりげなく)、平日デートに誘われれば余裕で会社をぶっちぎり、クビ寸前。大好きだし、超幸せ。マモちゃん優しいし。だけど。マモちゃんは、テルコのことが好きじゃない・・・。
恋愛系の映画を久しぶりに見たな。
相手への好意なんて均衡が取れることはなくて、絶対どちらかの方が好きで、だから辛いんだよね〜と思いながら見てた。
恋愛中、相手に重すぎる好意がバレるのって恥ずかしい。できればバレたくない。
だからこそ、もうお風呂に入ったのに帰宅途中と嘘をついてわざわざ着替えて、偶然会いに来れたよ感を装ったりしちゃう。必死感を隠してさりげなく。
いやあ分かる……これこれ…
テルコは、そうまでしても会いたくてマモルの元に向かうのに急に帰れとか言われるから、見ていて苛々してしまう。雑に扱いすぎてるマモルにも、雑に扱われてもすがりつくテルコにも。
この映画のテルコほどではなかったけど、数年前、急に夜中に呼び出されて家にいったり、私から会いたいと言えずに彼氏からの一日中連絡を待ったりしていた。会える時は嬉しいけど、会えないと、連絡がないと、友達と楽しく過ごしていてもどこか苦しい。
この頃の自分が嫌いで、薄っすら彼氏と別れたかった時期。ただ、別れたいと思いながらも、今以上に好きな人が出来るのか?と心配して離れられず、歳を重ねた後で別れたことを後悔するのではないかと臆病になり…右往左往していたあの頃。
あの頃、見てなくてよかったと思う。
この類の映画は今のように楽しく生きている時にしか見たくない。
---
主人公であるテルコとマモルもグレーな関係だけど、テルコの友達である葉子と仲原君も同じような関係。
この葉子と仲原君がいい。
というか仲原君がいい。
(マモルのクズと優しさの交互浴には全く刺さらなかったけど、仲原君の健気さは刺さってしまう)
テルコと仲原君は、相手にとって都合良く振る舞ってしまう点は通じているけど、相手のことを大切に思っているのが仲原君で、相手のようになりたいのがテルコ。似ているようで全く違う2人。
そんな2人が好きな相手を思いながら語るシーンがいい。
夜中に1人で部屋で飲んでたりしてて、俺今寂しいんだなって気づく瞬間っていうか。
俺は葉子さんがそういう時にいつでも呼び出して貰えるようなところにいたいんすよね。
な〜〜健気すぎる。
やめとけ!と思いながらも、仲原くんのように心身削りながら好きでい続けるのって少し羨ましい。
王様の無茶なお願いを逆らえない家臣たちが全部受け入れていくんです。そしたら王様はどんどんエスカレートしていって善悪の判断がつかなくなる。
今まで王様が残酷だと思ってたんですけど、でも実は王様を止めないで受け入れ続けた家臣の方がよっぽど残酷なんじゃないかと思って。愛ってなんだろうって思ったんです。
無性に寂しくなるのは俺とかテルコさんみたいな存在で葉子さんはそうはならない人なんだって。
だから葉子さんみたいな人に俺らは寄っていっちゃうんすよ。

序盤では、葉子が寂しくなった時にいつでも呼び出して貰えるようなところに居たいと言った仲原君が、後半ではそもそも葉子は寂しくならない人なんだと気づく。
ここは葉子を諦めることをテルコに報告するシーンなんだけど、泣きそうになりながらも笑顔のまま話そうととする感じが余計に辛い。
ポロポロと感情を吐き出すような、どう相手に伝えようか考えながら話している間とかも自然で見入ってしまう。若葉竜也が凄い…
離れるのが苦しくても、これ以上辛くならないように未来の自分のために判断したんだな〜凄いじゃん…と思いつつも結局葉子に気持ちを伝えないまま離れちゃう弱いところは変わっていない。
それに"振り回している側"のマモルと葉子も、実は他の誰かに"振り回される側"だと分かる描写があって、そのダサさが完全に憎めない…
なんだかんだみんな上手くいかずに歪んでる。
登場人物達が、いつか2人用の土鍋で好きな人と美味しいうどんを食べれればいいなと思ったり、
仲原君と葉子のその後が気になったりした。
若葉竜也がいいな〜と思ったので俳優さん中心に見てみようかな。『街の上で』くらいしか見たことないので。
終わり。