【美術】新古典主義とダヴィッド
今日は西洋美術、新古典主義とジャック=ルイ・ダヴィッドについて。
前回ロココのまとめでも書いた通り、ルイ16世が即位すると、ロココは次第に廃れ、新古典主義が台頭します。
これは、ロココ時代の自由でともすると軽薄な表現を否定し、ルネサンスへの懐古的な傾倒が起こります。
いつの時代も古典絵画は基本であり、その模倣は常に見られます。では、新古典主義は単なる古典の模倣と何が違うのか。それは、新古典主義の芸術家が、「正しい理性と強い倫理観」によって社会を正すため、高潔な徳を具現化したギリシャ・ローマの古典芸術を模範とすることを目指した点にあります。
宮廷美術の時代から、近代ルネサンス以降は画家の自己表現の時代となり、遂に社会的な関わりの手段にまでなったと捉えられます。
そこには、18世紀の啓蒙運動という社会的風潮が影響していたのかもしれません。
大きな概念の転換期には常に古典に回帰する、というのは非常に興味深い事象です。
そんか新古典主義の画家の中からダヴィッドを取り上げます。
ダヴィッドはトップ画の所謂『ナポレオンの戴冠式』など非常に有名な絵画を書いていますが、その平凡な名前からか、それほど名前は知られていないように思います。
新古典主義の絵画の特徴は、均整が取れ、格調高く威風堂々とした雰囲気があることです。ダイナミックで重厚な画面というとバロック美術を思い出しますが、バロック美術に比べると、人体表現が古代彫刻のようで、画面全体に落ち着きがあります。
その完成度の高さには、啓蒙しなければならないという心意気とパワーが反映されているのかもしれません。