最も不自由で、最も自由な恋の物語。「透明な夜に駆ける君と、目に見えない恋をした。」「極彩の夜に駆ける君と、目に見えない恋をした。」
「透明な夜に駆ける君と、目に見えない恋をした。」
「極彩の夜に駆ける君と、目に見えない恋をした。」
最初、raemzさんのイラストに惹かれて手に取った2冊。
この2冊はぜひセットで読んでいただきたい作品。
あらすじに目を通したらそれだけでウルっときてしまいました。
まずは本編の「透明な夜に駆ける君と、目に見えない恋をした。」
主人公の内気な大学生・空野かけるは同じ大学に通う一人の女性・冬月小春と出逢います。
出会ったのはサークルの新歓コンパ。
ただなぜか小春の座るテーブルには人がほとんどおらず、友人の早瀬優子と二人きり。
不思議に思いかけるも友人の鳴海潮と一緒に小春の座るテーブルへ。
自己紹介をしつつ、柔らかく微笑む小春の笑顔があまりにも綺麗で見惚れていると、ちょっとした違和感を感じます。
視線がまっすぐだけを見つめています。
小春は目が見えなかったのです。
このような出会いから物語が進んでいききます。
かけるは内気な性格なので人との関わりが苦手。
しかし小春はキャンパスでも浮いてしまうレベルの美人で、よく笑い、かけるとは正反対の明るい人。
目が見えないというハンデをもろともせず、毎日大学に通い積極的に人とも関わり、何も諦めていません。
そう、打ち上げ花火をするという夢も。
目が見えないのに打ち上げ花火なんて…と、かけるは思いますが、気がつくとかけるは常に小春のそばにいる存在に。
しかし運命は残酷で、小春は病に侵され命の危機が訪れます。
そんな中、小春はかけるのことを想い、自分から距離を取ろうとします。
しかし今度は、かけるが諦めません。小春のことを。
そうして二人の辛く厳しい、しかしとても優しい世界で物語が進みます。
「最も不自由で、最も自由な恋の物語」
こんなに泣きながら小説読んだの初めてかもと思うほど涙が止まりませんでした。
物語の前半はとても幸せな気持ちで読めます。
しかし後半は本当に切なくて辛くて。
だけど最後は本当に救われて…とても幸せな気持ちになりました。
そしてもう1冊の「透明な夜に駆ける君と、目に見えない恋をした。」のアフターストーリーである「極彩の夜に駆ける君と、目に見えない恋をした。」
こちらはヒロインの冬月小春の視点で描かれています。
かけると小春が出会って3年後、変わらず恋人同士の二人。
小春は病気で休学していた大学に復学し、今は大好きな人・かけると一緒に過ごしています。
かけるの顔を見ることはできませんが、常に自分のことを気遣ってくれる。
それだけでとても素敵な人なんだとわかるし、小春の未来をくれた大切な人。
二人で病という大きな壁を一度は乗り越え、そして未来へと歩みを進める二人の姿を知ることができる物語です。
このアフターストーリーを読むことで、本シリーズは完結します。
正直にいうと、予想してたよりもかなり長い二人の人生を知ることができます。それが本当に救いというか、心の底から良かったと思えました。
近年稀に見る「こころに残る物語」でした。
思い出しただけでも泣けます。
ぜひともお勧めしたい2冊です。