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メンタルの避難所としての近場ビジネスホテル宿泊旅のススメ

一時的に強いストレスがかかってメンタルのHPが底をついた時、慢性的な疲れが溜まりに溜まって、無感情になっている自分に気がついた時、時間が解決するとはいえ、やはり渦中にいるのは辛いもの。少しでも自分を癒す方法があるならやってみたいと思うのは自然なことではないだろうか。
そんな、人と話すのもしんどいという状態の人に送る、私が発見したメンタルの避難所としての近場ビジネスホテル旅について真面目に語り、紹介してみようと思う。
今現在はそこまでストレスが溜まっていなくても、もし落ち込んだ時にはこうしてみようかな、という選択肢の一つとしても読んでもらえると嬉しい。

【近場ビジネスホテル宿泊旅、こんな人におすすめ】
→過大なストレスがかかって現実逃避したいけど大袈裟な旅をするパワーも残っていない人

その人の抱えているストレスレベルによって相応しいリリースの仕方は違うのではないかと思っている。
ざっくりレベル別に考えてみると

1、ストレスレベル軽度→発散系リリース。メンタルはそれほどすり減っておらず、ストレスを何かで「出す」という形でリリースできる。例えば一人カラオケ、気心知れた人にひたすら愚痴る、飲んで騒ぐ、筋トレ、ランニングなどなど。

2、ストレスレベル中度→環境を変えて視点と感覚をリフレッシュすることでリリースできる。長距離の移動を伴う通常の旅行。日常からなるべく離れた南の島とか以前から行ってみたかったところへ行って、ワクワクを味わい、気持ちを新たにして充電する旅。

3、ストレスレベル重度→急激にかかったストレスで気力もメンタルも0に達して、旅行の企画を立てるのも億劫な場合。

今回取り上げる近場旅は、この3の状態の方におすすめしたい旅だ。

【なぜ近場ビジネスホテルなのか】
なぜビジネスホテルかというと、一人で泊まりやすく、比較的安価でアクセスが良い場所にあることが多いからだ。観光地のリゾートホテルなどは一人で泊まるのに気が引ける時があるし、ゲストハウスなどは他の旅人やオーナーとの交流が発生しやすく、上記のストレスレベル中度の人なら楽しめるかも知れないが、ストレスレベル重度の、他の人と話す気力もない人には、じっと一人になれる空間が必要なのだ。

一人暮らしの人ならいつも部屋で一人だし変わらないのではないかとも思えるのだが、実際家というのは生活の場所であり、物もたくさんある。目に入ってきた振込書で、ああ入金しなきゃとか、洗濯物が目に入って、ああ畳まなければ、など何もする気がない人に次々タスクを思い出させて心の負担をかける阻害要素がたくさんある。特に強いストレスで気力が奪われると生活も乱れがちで机の上が散漫になり、意識していなくても目に入るとそれにエネルギーを少しずつ取られていたりする。
ホテルの部屋なら必要最低限のものしかないため、日々の雑事のことは一旦忘れられる。家事も帰宅した後の自分にまるなげすればいいのだ。

近場を選ぶため、移動で奪われるエネルギーも最小限に抑えられるのも魅力だ。

【近場ビジネスホテル宿泊旅の作法】
1、まず、なるべく早い日程で休みをとり、ビジネスホテルを予約する。できれば二泊三日(理由は後述)。無理なら一泊二日でも。

2、ホテル選びは家の近くにあればそちらで、住宅地すぎて近くにない場合は、職場の近くや、通勤途中で乗り換えるターミナル駅の近く、昔住んでいたところの近くとか、土地勘がある程度ある場所を選ぶ。

3、宿泊当日は、情報(特にデジタル)を遮断して休むために、SNSを断つ。youtubeも見ない。ラジオや音楽、本だけにする。スマホの電源を切ったほうがいいが、現代では完全に切るのは難しい人も多いかも知れない。私はiPhoneのホーム画面からxとインスタグラムのアイコンを消した。これならアプリ自体はそのままだが、気軽には開けなくなるのでちょうどいい。

4、観光はしない。太陽の光を浴びるためにホテルの周りを散歩するくらいにとどめて基本部屋の中でのんびりする。

【近場ビジネスホテル宿泊旅の目的】
精神を癒し、回復させる。ゼロ地点、フラットな状態まで持っていくのが目的で決してポジティブなところまでを目指してはならない。何せストレスレベル重度の状態にいるのだ、元気に動き回れるまでを目指して焦らない。
ホーキンス博士の著書「パワーか、フォースか」に、人間の意識レベルの段階のマップが掲載されているのでそれを使って説明したいと思う。参照サイト先で一度画像を確認してもらえると助かる(https://deguchikiichi.com/2019/02/03/level/)。
意識レベルというのは人間のエネルギーの量に比例するわけなのだが、一番低いのが、恥、罪悪感。上がっていって絶望感・無感動、深い悲しみ、恐怖と続き、怒りに至る。さらに上の方向に中立、意欲、理性、愛と続く。
ストレスレベル重度の人は、きっと心が動かなくなったり、深い悲しみの底にいたりすることだろう。
実は「怒り」でさえ意識レベルは無感動よりも上だったりする。なので、この旅は意識レベルを怒り、中立、くらいまで回復させることを目指していこう。

マイお菓子セレクション

【チェックインしたら何をする?】
まずその部屋を自分にとってのネガティブ、怠惰の解放区に設定する(心の中で)。あとは自由!
というのもあっさりしすぎるので、私がやったことでも参考にしていただけると嬉しい。

・綺麗にベッドメイクされたベッドに背中からダイブした
・私は情報をついつい取りすぎて処理しきれず、注意散漫になりエネルギーが枯渇してしまう傾向にあり、最近は次々とおすすめされるインスタグラムの動画を見続けて夜更かししたり、YouTubeも1.25倍で次々見て、どんどん情報を入れて結局処理しきれずパンクしたりしていた。なのでこの近場旅では敢えてタイパとかそういったものは無視してオールドメディアでだらだらしようと思った。普段はAmazonで買うが、わざわざ本屋に立ち寄って気になった新刊本を買って、部屋の窓際の椅子でよんだ
・音楽が好きなので持っていったPCで好きな音楽を流した。
・スケルトンエレベーターに乗ったら一人だったので1階に到着するまで大声で歌った(多分20秒もない)
・コンビニや100円ショップで昔好きだったおやつを買って子供心を癒した(クッピーラムネとかマーブルチョコとか)。人によっては晩酌用のちょっとしたおつまみをコンビニで選んで酎ハイなどを自分で自分のために選びのもいいかも知れない。
・ランチを気になっていた店でとった。具体的なおすすめ店などは後述。
・昼寝した。二泊三日だとこれができるのでおすすめだ。実はホテルというのは通常15時チェックインで、チェックアウトは翌朝10時。一泊二日とはいえ、そこにいられるのは19時間ほどだったりする。すると結構慌ただしい。二泊三日なら真ん中の日は丸っとその部屋にいられるので、遅くまで寝られるし、昼ごはんの後で戻ってきて昼寝してまた部屋で過ごすことができる。
・昼の駅前の飲み屋街を歩いて、夜とは違う顔があるのを楽しんだ。
・夜は大衆居酒屋に一人で入った。ドリンク1杯と自分のために選んだおつまみ三種類でお腹いっぱい。
・湯船を溜めて風呂に入った。大浴場やサウナがあるならそれもおすすめ。
・夜は怒りが湧いてきたので、持っていたメモ帳に罵詈雑言を書き殴った。○ーカ○ーカと子供並みの語彙力で繰り返し書いた。あまりにたくさん書いたので(100回くらい)、朝見返してみたら罵詈雑言で模様みたいになっていた。これぞお一人さまネガティブ解放区だ。

居酒屋のカウンターで

【それでも一人旅に抵抗がある人へ】
・人目が気になっておひとりさまで行動するのに抵抗がある人
→そもそも他人はそんなに他の人のこと気にしちゃいない。チラッとみたとしても3秒後には忘れて他のことに気を取られている。有名な観光地とかで一人だと、一人旅かなとか思われるかも知れないが、近場の街での一人の行動なら仕事帰りかなくらいにしか思われないはず。
夕飯を一人で外食するのだって、都市部じゃよくあることだし、他の人は自分たちで楽しむのに夢中で他の客のことなんて見えてなかったりする。
気になる人は旅に出る前に「孤独のグルメ」を見て心の中にゴローちゃんを常駐させておくと、料理を選ぶときや食べる時の自分の心のモノローグに忙しくなって他の人のことは気にならなくなるかも知れない。

・一人で泊まるとか寂しすぎるのではと思う人へ
→人はどうしても他の人の前では格好付けたり、心配させたくなくて体裁を整えようとしてしまう。他人の目から自由になるには密室で一人で過ごすのがうってつけだ。孤独を掘ると宝があると聞いたことがある。それにこの旅が終わったらどうせまた俗世間で人にまみれるのだ。ホテルにいる間くらい一人でも、それは限定的なものだと思ってみるといいかも知れない。

・夫、妻がいる、子供がいるなどでなかなか泊まりにいけない
→家庭人にとって、一人で旅に出るというのはなかなかハードルが高いかも知れない。ただ、この近場旅の対象者はストレス重度。ということは緊急度MAXだったりもするのだ。なんとか連れ合いに事情を話して一泊二日だけでも行かせてもらったり、小さなお子さんがいてそれも難しい人は、日中だけでも誰かに協力してもらって、デイユースのプランがあるホテルを利用して数時間でもリセットする手も考えてみるといいかも知れない。 


宿泊した激渋昭和風ホテルの廊下の窓。



私の体験から、この近場旅のおすすめを書いたが、もしストレスでにっちもさっちも行かなくなっている人に、この記事が届いて、もうどうしようもなくなったらこの方法で退避しよう!と心のよりどころにしてもらえたら嬉しい。

以下は具体的に私が泊まったり、行ったところやおすすめのホテルチェーンや音楽などを書いていこうと思う。かなり具体的でみんなに公開するのがアレな感じがするのでそのうち有料のパートに入れようと思う。もしここまで読んで参考になったなと思う方は、応援の気持ちでこの先も読んでもらえたらとても嬉しい(まあまあな分量あります)。
あとこういういいところあるよというビジネスホテルあったらコメントで教えてくれると喜びます。

私が宿泊したホテル
・池袋第一イン 

電車の音が聞こえるくらい駅近。1階はコンビニで超便利。ロビーなどの内装は激渋の昭和風。部屋のタイプは当日までわからない一番やすいプランで行ったら一人なのに広々としたエグゼブティブツインの部屋で二つのベッドが一つに繋げられていたのでテンションが上がった。
歓楽街のど真ん中なので深夜まで大声が聞こえたりするので耳栓があると良いかも。

二つベッドが繋げられたツインの部屋

このホテルに泊まったらおすすめなのが、こちらの日本に顕現した中国現地屋台みたいなフードコート。席が少ないがホテルが近いので持ち帰りもいける。併設された中華食材スーパーをそぞろ歩くのも楽しい。

・友誼食府

一店舗でもこんなにメニューあるのにこれが立ち並ぶから選ぶのが大変


四川風麻辣汁なしそばを選んだ


・ブリーズベイホテル横浜

桜木町駅近。大きめの部屋が比較的安価。私が泊まった部屋はタウンサイドだったのだが日当たりがよく陽だまりで過ごす時間が心地よかった。
Wi-Fiが遅いのがちょい気になる。
プラス料金がかかるがプールやサウナも入れる。カプセルホテルも併設されているので、子供の頃味わったわくわくした隠れ家感が欲しい方にも。
横浜で一番大きな飲み屋街野毛の入り口にあるので、せんべろ好きな人にもおすすめ。

このホテルに泊まったらおすすめなのが地下街のぴおシティにあるこのお店。混雑していても一人ならすっとカウンターに座れるし、バリカタ拉麺(実際にはほぼ焼きそば)としみしみ大根の天ぷらが美味しい。
・釣宿酒場マヅメ

マヅメにて。居酒屋のイメージイラストがかわいかった。

他チェーンでおすすめのビジネスホテル。

・東横イン
全国にあり、綺麗でバランスのいいホテル。女性におすすめ。
無料の朝食も地味に嬉しい。

・ルートイン
大浴場があるのでお風呂でゆっくりしたい人におすすめ

・ドーミーイン
こちらも大浴場とサウナがあるのでさっぱりしたい人におすすめ。ルートインより都市部の駅近にあるイメージ。


女性ビジネスホテル一人旅をしているyoutuberさん。おすすめホテルが動画で見れる。私はいったことはないが、ヴェッセルイン高田馬場とか良さそうだ。


私がホテル泊前に立ち寄った本屋で買った本
國分功一郎 「手段からの解放」

東大の哲学の講義の学術的な話で、これまでの情報で溢れんばかりになっていた自分にはそんな観念的な文章をじっくり読めるような余裕がなかったが、SNSをとめて注意が分散しない環境にしたらこの本が読めたのは嬉しかった。カントの哲学を現代の社会に照らし合わせてわかりやすく話してくれて、もともと私は概念とか人の心のモヤモヤとか形のないものが言語化されていく過程が好きだったことを思い出し、原点回帰させてもらえた一冊。

「承認欲求捨ててみた」

多分現代日本で心を病んでいる人のほとんどが頷ける悩みに答えた一冊。特に後半のプログラムは今の私に必要なものだと思う。

これは今回買ったものではないが、本を読みたいけどどれを買ったらいいかわからない人におすすめなのが、旅する人のバイブルともいえるこちら。
沢木耕太郎 「深夜特急」

今は近所でじっと自分をたくわえることしかできないけれど、また動き出したらこんな旅ができるといいなと思わせる本。

宿泊中に聴いた音楽。
一人でいる密室にふさわしい音って私にとってはアコースティックギターだったりする。
星野源という人は全くもってスター中のスターで王道ポップスというイメージの人も多いかも知れないが、実は以前は相当内省的で、時にアナーキーな歌詞の曲をよく作っていた人でもある。
そんな彼が2023年にリリースした「Lighthouse」という曲をおすすめしたい。私はこんなに優しいメロディにのっかった罵詈雑言を他にしらない。

「お前ら全部死ねばいいと ブランコで揺れた」という歌詞が入っているこの曲を繰り返し聴いて夜を過ごした。この曲は本当に辛い気持ちの中にいる人に寄り添ってくれる。

次の曲もやはりアコギ主体の曲。前述の「深夜特急」の沢木耕太郎さんが毎年クリスマスにやっているJWAVEのラジオの生電話で出演していたサラリーマン兼業で音楽をやっているという「呼吸」という音楽ユニットの「Being on the Road」。小さな部屋で古い椅子に座り隣で演奏してくれているような気分でずっと繰り返し聴ける心地よい一曲。

私からのおすすめはこんなところ。
また思い出したら追記するかも。
ここまでお付き合いくださってありがとうございました。
このnoteがあなたの心の避難所の一つになりますように。


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