【実践編】体育向けゲームアレンジのポイントまとめ
体育では、既存のスポーツを「そのままの形」で扱うことはタブーであるといっても過言ではないだろう。「競技」として行われているほとんどのスポーツは、実力主義・結果主義で優劣を明確にすることが目的とされ、その「淘汰」を容易にするために技術的ハードルも非常に高く設定されている。それを初心者で運動能力も未発達である子どもに、体育の授業の中で「同じ形」を再現させようとすることは非常に危険である。かえってそのスポーツを嫌いになってしまうことにつながりかねない。
したがって、体育では既存のスポーツを子どもにも親しみやすい形で「アレンジ」することが求められる。しかし、アレンジといっても、何を・どのように変換すればよいのかに悩む指導者は実に多いだろう。そこで、本稿はあらゆるスポーツの共通項としてのゲーム要素を整理し、どんな要素に、どんなアレンジの可能性があるのかを紹介していく。
0.そもそも「ゲーム」とは?
一般的に「ゲーム」とは、「ある条件下で指定された目標行動を達成する」ことを目指すものである。最もシンプルな例をあげると、指定された場所まで「移動する」ことが目標行動とされるゲームがある。それぞれの「移動するゲーム」には同時に「ある条件」が設定され、その条件を満たしながら「移動」することが求められる。
例えば、「障害物をよけながら」「制限時間内に」目的地まで移動するゲームが『スーパーマリオ』であり、「互いに妨害し合いながら」「他のプレイヤーよりも早く」目的地まで移動するゲームが『マリオカート』である。また、「4人でバトンをつなぎながら」「他のチームよりも早く」目的地まで移動するゲームが『リレー』である。
もちろんテレビゲームだけではなく、スポーツもゲームの一緒である。そして、体育で扱いたいものも基本的にはすべてゲームであり、あらゆる運動をゲーム化する、すなわち教師の「ゲーミフィケーションスキル」が重要である。本稿ではゲームの構造に着目し、ゲームを構成する要素に分解することを目指す。そして、ある1つの要素を修正するだけで無限のアレンジができるということをお伝えしたい。
はじめに、ゲームを構成する要素を一覧で示す。以降、各要素について詳細をまとめるので、興味のある部分から読み進めていただきたい。
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