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給食の魔法 #未来のためにできること

美味しく食べてもらう雰囲気づくりをすること。これが私が未来のためにできることである。

私は小学校で働いている。小学校といえば学校給食。担任を持っているときは、子どもたちと配膳の準備をし共に同じものを食べている。

年間約60万トン。
環境省の調査によると、それだけの量が学校給食から廃棄されているそうだ。1学級で食べ残される給食も毎日、そして全国と積み重なればこれだけの莫大な量になってしまう。

食べることは、命を頂くこと。多くの人々が手や心をかけ、食材や料理にしたものを生きる糧にするということ。
子どたちには、そんな食べ物を残すことや捨てることに何も感じない人になって欲しくない。そして食べることが生きていく上で必要不可欠である以上、様々な食材や料理を楽しめるようになって欲しい。

これまで残飯が少なくなるような声掛けや関わりをしてきた。

「今日の献立もすごく美味しそう」
「この魚は今が一番美味しい旬なんだよ」
「じゃがいもがとろとろで美味しいね」
美味しい、という言葉を意図的にたくさん使うこと。

「今日の献立の○○はね…」
食材について話すこと。
普段口にしているものがどう育つのか、どこからやってくるのかを知ることを面白く感じる子は多いようで、興味を持って聞いてくれる子がたくさんいた。

おひたしや焼き魚など子どもたちの箸が進みにくい献立のときには、
「おかず屋さんでーす!」
と食缶を持って配ったり、人気のあるメニューとないメニューを「ハッピーセット」と名付けてセットにしておかわりさせたりもしている。

一人一人の好みや食べられる量を把握し、苦手な食材にチャレンジした子への声掛けも大切だ。
「食べなければ」よりも「食べたい」雰囲気づくりを心掛けている。

一年が終わる頃には、小食な子や好き嫌いが多い子も結構食べられるようになっていることが多い。

「この子、食べられる野菜が増えたんです」
「おかわりをするようになりました」
等、保護者から驚きや喜びの声をいただくこともある。
みんなで食べる給食だからこその魔法の効果もあるのだろう。

「美味しい」は生きる上での喜びだ。
どんなに心が曇り模様の日だって、ざざぶりの雨の日だって「美味しい」に出会えると、その瞬間はほんのちょっぴり雲間に光がさす。

少しでも残飯が減って欲しい、そして食べることを楽しめるようになって欲しい。
そんな思いを持って、私は食べ物への愛を子どもたちに示し続けている。








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