令和元年司法試験・民法・設問1関連基礎知識
令和元年司法試験・民法・設問1関連基礎知識
【請負】
632条
請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
語呂→請負で建てた家が無残に(632)も壊れた。
【完成した仕事の目的物の所有権】
{請負人帰属説}
(1)注文者が材料の全部又は主要部分を提供した場合は、注文主に原始的に帰属
(2)請負人が材料の全部又は主要部分を提供した場合は、注文主に原始的に帰属するが、引渡しによって注文者に帰属する。
(3)明示的又は黙示的特約があれば、工事完了をもって、注文者に帰属することも。
(4)注文者が請負代金の大部分を既に支払っている場合には、注文者に帰属する特約が推認される。
【判例】最判昭和44年9月12日
〔裁判所ウェブサイト〕
注文者が、請負契約の履行として、請負人に対し、全工事代金の半額以上を棟上げのときまでに支払い、その後も工事の進行に応じ残代金の支払をして来たような場合には、特段の事情のないかぎり、建築された建物の所有権は、引渡をまつまでもなく、完成と同時に原始的に注文者に帰属するものと解するのが相当である。
【棟上げって?】
家を建てるとき、骨組みを組み立て、最上部に棟木?(むなぎ)?を上げること。また、そのときに行う儀式。上棟(じょうとう)。建前(たてまえ)。
【工作物責任】
717条
1項=土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
2項=前項の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する。
3項=前二項の場合において、損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる。
→第1次責任(中間責任)=占有者、第2次責任(無過失責任)=所有者
語呂→必要な注意したら、占有者に責任はないな(717)。でも、ないな(717)んて言えないなので最終的には所有者
【要件】
①「土地の工作物」であること、②その「設置又は保存に瑕疵」があること、③工作物の瑕疵によって損害が生じたこと、④占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしなかったことである。
→注意事項=すべての要件を検討。丁寧な検討が必要であり、ポイントになる。
【損害】
損害概念
・ 差額説(判例・通説)←ドイツ学説。
:損害=違法な加害(=債務不履行)がなければあるべき財産状態-現実の財産状態。
実際には個別の損害項目の金銭評価の積み重ね。
目的物の価格変動による損害自体が上下する。
・損害事実説(反対説)
:損害=債権者に生じた不利益そのもの
※債務不履行では給付の不実現を指すか?→金銭評価ができないのが欠陥。
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