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令和元年司法試験・民法・設問3・解答に挑戦

令和元年司法試験・民法・設問3・解答に挑戦
第3 設問3
1、Hによる錯誤取消しの主張
(1)Hは、Gに対し、DのGに対する本件債務について、本件免責債務引受契約を交わした。この契約は有効か。
(2)472条2項によれば、免責的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によってすることができる。この場合において、免責的債務引受は、債権者が債務者に対してその契約をした旨を通知した時に、その効力を生ずる。
(3)引受人のHは債権者Gと契約を交わしている。また、Hは本件免責債務引受契約の締結をGがDに通知しており、本件免責的債務引受は有効に成立する。しかし、Hは本件免責的債務引受について動機の錯誤を理由に取消しを主張することになる。
(4)動機の錯誤による取消しの要件は以下の通りである。①表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤(95条1項2号)
②その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なであること(95条1項柱書)③その事情が表示され、法律行為の基礎とされていることが表示されているときである。
(5)Hは、本件免責的債務引受の前提となったH・D間の乙建物売買契約について、Hは、乙建物の賃料収入が見込める収益性を前提に価格を6000万円にした。しかし、乙建物の賃料は、D・F間の将来債権譲渡によって、乙建物の賃料はHに入らない。この点についてHは法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤をしており、要件①を充たす。また、乙建物から賃料収入が見込めることから、本件免責的債務引受契約をしていることから。当該錯誤は重要であるといえ、要件②を充たす。さらに、Hは賃料収入を得る事情を相手方に表明し、本件免責的債務引受契約という法律の基礎となっていることから、要件③も充たす。したがって、Hの動機の錯誤による取消しが認められるとも思われる。
(6)しかし、Hには重大な過失が認められ、95条3項に触れないか。将来債権譲渡については、HはDから聞かされ、知っている。とするならば、将来債権譲渡が優先し、Hは賃料収入が見込めないこともありうる。それにもかかわらず、弁護士など専門家に問い合わせることも考えれるが、不動産業者ではない通常の一般人に求められることではなく、重大な過失とは認められない。
また、したがって、本件免責的債務引受契約の取消しによって、不利益を受ける善意・無過失の第三者はいない。したがって、Hは、錯誤を理由に本件免責的債務引受契約を取消すことができる。
(以上)

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