発信で持論を育てる

はじめに


NSSOL Advent Calendar 2024の1日目の記事です。私自身、皆勤賞(7年目)で今年はトップバッターを務めます。そこで、アドベントカレンダーへの参加や発信の意義について、『持論』というテーマを絡めて考察します。


なぜ持論が必要なのか


持論とは、自分自身が深く考え、経験や知識に基づいて構築した一貫した意見のことです。単なる思いつきや感想とは異なり、理論的な裏付けや具体的な経験を伴ったものが持論です。

持論があると、自分の考えや行動に一貫性が生まれます。この一貫したメッセージは相手に安心感と信頼感を与えます。特に正解が存在しない、または専門性が求められる分野では、持論が指針になります。そして、他者に影響を与え、議論や対話を促進します。

LINEヤフー(株)代表取締役会長の川邊健太郎さんの持論に「大人のマナーは"ポジショントーク"」という話があります。正解が存在しない、不確実な世界では、自分が「正しい」と考えるポジションを取ることが重要です。このポジショントークに必要なのが持論です。それぞれの人が持論を持つことで「多様性」が生まれます

持論を持つことと多様性を生むことは一見矛盾するように思えますが、実際には相互に補完し合う関係があります。しっかりとした持論を持つからこそ、他者の意見に対して柔軟で寛容な姿勢を取れるようになるのです。自分の意見が確立されていれば、異なる意見を聞いても防衛的になる必要がありません。それ以上に、考え抜いた持論を持つことで、「他者も同じように深く考えた結果、自分とは異なる意見を持っている」というリスペクトが生まれます

持論を持つためには、自分の意見を絶えず検証し、改善し続ける必要があります。批判や異議を自分の意見を補強する材料と考え、相手の意見を「拒絶すべきもの」ではなく「学びの機会」として受け入れるのです。このような持論を育てる手段の1つに、発信があります。


発信で持論を育てる


発信は、持論を育てるための重要な機会です。アウトプットの過程で思考を整理し、他者からのフィードバックを受け取ることで、持論はブラッシュアップされていきます。裏を返すと、発信をしなければ持論は育たないどころか、「ぼくのかんがえたさいきょうのりろん」でしかありません

発信では、自分の考えを分かりやすく伝える必要があります。曖昧な部分を整理し、改めて言語化に取り組むと、自分自身でも気づかなかった新たな視点が見つかることがあります。自分の考えを「外に出す」ことで、思考の可視化を促します。

発信した情報には、必ずと言っていいほど反応があります。共感や賛同だけでなく、ときには異なる意見や批判も返ってきます。これらのフィードバックは、持論を見直し、補強する絶好の機会です。異なる視点に触れることで、持論はより多角的で説得力のあるものへと成長します。

このように最初は漠然とした「考え」でも、継続して発信し、フィードバックから学び続けることで、やがて「持論」になります。


発信のはじめかた


最初から大きなテーマや深い議論を目指す必要はありません。自分が日常的に考えていることや、興味を持っていることを持論の種にして、発信を始めましょう。例えば、仕事で得た知識、直面している課題、生活の中で感じた疑問、最近読んだ本など、身近で他者からのフィードバックを得やすいものが良いでしょう。

いきなり多くの人に届ける必要はありません。まずは身近な友人や同僚、チームなど、小さなコミュニティをターゲットにしてみましょう。親しい相手への発信はフィードバックが得やすく、自信にもつながります。失敗したときのダメージも少ないです。持論が育っていくにつれて、段階的に発信先を広げていくのがオススメです。

発信では双方向のコミュニケーションも重要です。受け取ったフィードバックをただ聞くだけでなく、議論や対話を重ねて、自分の考えにどう反映させるかを考えましょう。特に、異なる意見には耳を傾け、持論を進化させるためのヒントを引き出すことが大切です。

そして発信には、自分の経験や価値観を重視しましょう。他者の持論をそのまま持ってきても、自分の持論にはできません。一般的に言われていること、書籍に書かれていることをそのまま引用しても自分の考えにはなりません。他者にはない「自分だけの情報」を編み込むことで、持論がより魅力的で説得力を持ちます。


さいごに


発信は、持論を育てるための重要なプロセスです。一貫性のある持論は、他者からの信頼を生み、不確実な世界での指針になります。さらに、発信を通じたフィードバックや自己検証のプロセスは、思考を磨き、成長させるきっかけにもなります。

持論を育てるために、まずは小さな一歩、小さな発信から始めてみましょう。最初から完璧である必要はないし、多くの人に届ける必要はありません。小さなコミュニティから段階的に、継続的に発信することで、持論は時間とともに洗練され、より多くの人に響くものとなるはずです。

と、ここまでが私の「発信と持論」に関する持論でした。引き続き、残り24日、NSSOL社員の「持論」をお楽しみください!

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