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「休むヒント」

 「「休むヒント」という題名なのに誰も休んでないんですよ!」と確か三宅香帆さんだったかが紹介されていて、興味を持って手に取りました。「休む」は結構難しいのかも、という本なのかもしれない。

 早速数編読んでみたけど、本当に休んでない。休みたいとは願っているが、休んではない印象。むしろどうやって休んだらいいんだ?と考えたり、休むとは?と考えたり、ほんとに全然休めてない(笑)
 そして、疲れないから休んでない人が出てきたり、リラックスをいつでも次の動きができるように力を抜いておくこと、という。意識的に休むということが、わたしにはない、という。休んだ記憶がないという。みんな鉄人か。この本どうなってるんだ。

 滝口悠生さんの「釣り」のところにあった、以下の言葉は小説を書く仕事に限らず、ただ休んでください、、と言われた休職の時の手持ち無沙汰な感じにも似ている。休むってなにをすれば良いのかよく分からず、時が過ぎて回復を待つような時のようだな、と。

魚を釣るという意志はあるが、そのためにすべきことが特にない。あるかもしれないがよく分からないので、なにもせず釣れるのを待つ。という能動でも受動でもないような状態に、小説を書く仕事は似ている気がする。

p.112

 武田砂鉄さんが書いていてなるほど、と思ったのだけれど、「休む」と言っても人それぞれ定義が違うのではないだろうか。だからこそこの本はこんなに休んでないように見えるのではないだろうか。自分にとって「休む」とはどういうことなのか考えてみるきっかけにこの本はなるかもしれない。だから、こんなに休まないのに「休むヒント」というタイトルなのかも?と思う。

 33人が「休む」について書いている割に、休めていない。「休む」ことの難しさを表した本かもしれないし、「休む」定義が人それぞれ違うので、私から見て休んでないな、と思っても、その人にとっては休んでいるのかもしれない。
 この本をきっかけに自分にとって「休む」が何か。今までなにを休みと呼び、それがどう変化してきたかを思い出すのも良いかもしれない。自分にとって「休む」ってなんですか?


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