No1おむつブランド『パンパース』を#マーケティングトレースしてみた
こんにちは、げんきです。
先日二女が生まれ、昨日から育休を頂戴しています。
子どもの寝かしつけが終わり、余裕ができたところでマーケターの筋トレ、マーケティングトレースを初めてやってみました!
マーケティングトレースとは、企業のマーケティング戦略を分析し、言語化・図解をしながら思考力を鍛えるトレーニングです。
詳しくは、こちらを↓
せっかくなら、自身の一番の興味分野である育児に関連して、おむつのトップブランド『パンパース』をマーケティングトレースしてみました。
『パンパース』とはどんなブランド?
『パンパース』とは、P&Gが手掛けるおむつのブランドです。
国内のおむつシェアNo1で、病産院での使用率もNo1とのことです。
また、紙おむつの先駆けともいえる存在で、紙おむつはP&Gの技術者ヴィクター・ミルズさんが1950年代に自身のお孫さんに試しながら作ったのが始まりなんだそう。
日本へは1977年に上陸したブランドです。
実は我が家も、『パンパース』を使っています。
多くのご家庭で一度は使ったことがあるおむつなのではないでしょうか?
ブランドの理念は、『すべては赤ちゃんのために』
後述しますが、他のブランドが子育てをする親目線の施策が多い中、赤ちゃん目線の施策にこだわっているようにも感じます。
国内の主なおむつブランドは?
そもそも、国内にはどのようなおむつブランドがあるのでしょうか?
代表的なものとしては、
P&G
パンパースシリーズ
一般的な『さらさらケア』から、高級ゾーンの『肌へのいちばん』や『ピュア』を展開
ユニ・チャーム
一般~高級ブランドとして『ムーニー』を、低価格ブランドとして『マミーポコ』を展開
花王
一般~高級ブランドとして、『メリーズ』を展開
そのほかのブランド
エリエールから『GOO.N』、王子ネピアから『Genki!』、トイザらスから『ウルトラプラス』、イオンから『BABYパンツ』が出されています。
調べてみると、多くのブランドが出されているのですね。
シェアとしては、おおむねパンパース・ムーニー・メリーズ・GOO.N・マミーポコの順で寡占状態です。
ただ、生後2か月未満を対象に見ると、パンパースが圧倒的なシェアを誇っており、このあたりにパンパースの強さの秘密がありそうです。
[出典]マイナビニュース:利用しているオムツブランドの2位はムーニー、1位は?(https://news.mynavi.jp/article/20150302-a335/)
①外部環境分析(PEST分析)
PEST分析(Politics,Economy,Society,Technology)でポイントになりそうなところとしては、「社会Society」でしょうか?
『女性の社会進出』『少子化』『晩婚化』などが重点ポイントとして挙げています。
これらによって、
・育児期に比較的所得に余裕がある一方で、育てる子ども数は少ないために、子どもを大事に育てたい家庭像
・共働きでバタバタと日々を忙しく過ごしている家庭像
などが浮かんできます。
「技術Technology」面では、細かな改良はあるものの、薄型や足回りのギャザー、さらさらのライナー、通気性など、革新的なものとしては出尽くして頭打ち感が出ています。
②競合の定義
競合としては、紙おむつのライバルたち(ムーニー・メリーズ・GOO.N他)としています。
価値競合としては、布おむつを挙げていますが、そもそも紙おむつは布おむつに代替してきた歴史なので、脅威はないと考えました。
③ターゲティング/重点顧客
ターゲットとしては、子育て世代全般。
多少金額が高くても子どもの安心安全を考えるタイプとしています。
④ポジショニング
市場を『高品質⇔汎用』『高価格⇔低価格』の切り口で4象限へ分割しました。
パンパースは『高品質・高価格』路線であると言えるでしょう。
各社から、プレミアムブランドは出されていますが、パンパースからは他社プレミアムブランドと同等価格帯の『肌へのいちばん』に加えて、プレミアムブランドの倍近い値段の『ピュア』も展開しています。
※1枚当たりの価格レベル(げんき調べ)
さらさらケア:23円前後、肌へのいちばん:30円前後、ピュア:70円!!
⑤マーケティングミックス(4P分析)
まずは、製品Productから。
パンパースは高品質がウリです。
おむつかぶれしない、安全な成分の素材のみを使用、漏れない等です。
ただし、競合の高価格帯製品も同様な主張を行っており、そこまでの差別化が図れているわけではないと考えます。
製品ラインとしては、プレミアムブランド『肌へのいちばん』を他社に先駆けてリリースしていることも高品質のイメージに一躍買っていると考えられます。
(おむつの市場調査だと、品質面ではムーニーのほうが高評価)
通常のサイズ(新生児・S・M・L・ビッグ)に加え、低体重児向けの小型サイズがあります。
高品質×サイズバリエーションといった観点で、病産院の高シェアにつながっていると考えられます。
また、ベネッセと提携し、『しまじろう』がブランドキャラクターです。
成長につれて子どもがはきたくなるようなデザインにしていることも選ばれる秘訣なのかもしれません。
(我が家も、おむつを履くのが嫌な娘に「しまじろう、はいてほしいって?」と言って履かせています。)
ちなみに、他ブランドのキャラクターは次のようになっています。
ムーニー:ムーニーちゃん、メリーズ:うさちゃん、GOO.N:ディズニー、マミーポコ:ドラえもん、Genki!:アンパンマン
次に、価格Priceです。
高品質路線ということもあり、価格はやや高め。
一般タイプのもので、1個当たり20円~23円程度で販売されていました。
メリーズ・ムーニーはだいたい20円+αくらいなので、他社に比べてほんの少し高いイメージです。
プレミアムブランドの『肌へのいちばん』は、1個当たり30円程度。
これも、メリーズ・ムーニーはだいたい27~28円程度なので、他社に比べて少し高い価格となっています。
なお、ムーニーを手掛けるユニ・チャームは低価格ブランドとして、マミーポコを展開していますが、パンパースには低価格ブランドはありません。
過去トライ~撤退の過程は以下をご参照ください。
そして、販路Place。
ドラッグストアや赤ちゃん用品店、ネット等で売られています。
販路では他社との差別化が図れていない印象です。
一方、競合で特筆すべきが、ユニ・チャーム(ムーニー・マミーポコ)!
おむつの定額利用サービスである『手ぶら登園』を手掛けており、毎日の保育園登園の際におむつを用意する必要がありません。
私も転園によって『手ぶら登園』を利用する保育園に通っていますが、利用する前に比べ毎日の登園準備がほんとうに楽になりました。
余談ですが、パンパースが『すべては赤ちゃんのために』を理念に掲げ赤ちゃんの安心安全を訴求しているのに対して、ムーニー・マミーポコは子どもの面倒を見る家族目線の訴求力が高いように感じます。
パンツタイプのおむつの開発やうんちポケットなどは、ムーニーが世界初だそう。
訴求力の違いを意識してか、CMひとつとっても、パンパースは赤ちゃん目線、ムーニーはお母さん目線のようにも感じられます。
(上:パンパース、下:ムーニー)
最後に、販促Promotion。
ここが、パンパースの売れている一番の理由ではないでしょうか?
病産院での高シェアを維持し、『病産院に選ばれてNo1』のロゴを付与。
赤ちゃん目線の『安心・安全』を訴求し、「生まれたばかりのあかちゃんには絶対にいいおむつを使いたい」という親の気持ちを刺激し、購入につなげています。
⑥『パンパース』の成功要因を整理
①~⑤の分析を以下のように整理しました。
・病院・産院での高シェアを獲得、赤ちゃん目線での安心・安全を訴求し、顧客を獲得してきたこと
・高品質のイメージがあるので、容易に切り替えられにくいため、リピーターにつながったこと
⑦『パンパース』の次なる打ち手は?
私の考える『パンパース』の次なる打ち手は、以下2点です。
・保育園や自宅への定額配送サービスを立ち上げ
・プレミアムブランドの定額配送を贈答用としてチケット化
定額配送サービスは、ユニ・チャームが先行していますが、現在(21.4.21時点)のシェアは3%程度※と低位であり、後発でも十分参入できると考えられます。
※手ぶら登園導入保育園960(ユニ・チャームHP)÷保育園数28,737(令和元年厚労省調査)
加えて、保育園向けではなく自宅用の定額配送であればさらに手つかずの領域(既存サービス:Amazon、MIRAFEEL)ですので、おむつだけではなく他の商品(おしりふき等)とセットの定額配送サービスの実施は一考の価値あり、と考えます。
立ち上げた定額配送のサービスに対し、出産祝いの贈答用としてのチケット販売を行います。
これにより、認知度向上や現在の高品質で安心といったブランドとの両立を図ります。
以上が、げんきの考えるパンパースの#マーケティングトレースとCMO仮説でした。
いかがだったでしょうか?
マーケターの筋トレとしてというよりも、育児を行う父親として大変勉強になりました。(ムーニーに浮気してみよう・・・笑)
#マーケティングトレースをやってみたのは、初めてですのでいろいろな視点からご指摘いただけると嬉しいです。
次回は、育児ネタから離れて地元群馬の誇り『草津温泉』をマーケティングトレースしてみたいと思います。
こちらもぜひ、お読みいただければ幸いです!