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『下剋上球児』 第8話「まだ終わらせない!仲間と誓う最後の夏」 感想


概要

放送局:TBS系列
放送日時:2023年12月3日(日曜日) 21時00分~21時54分

原案…菊地 高弘『下剋上球児』(カンゼン刊)

脚本…奥寺 佐渡子
音楽…jizue
主題歌…Superfly「Ashes」
プロデュース…新井 順子
演出…棚澤 孝義
編成…黎 景怡、広瀬 泰斗
製作…TBSスパークル、TBS

番組公式サイト リンク

感想

 迎えた準々決勝戦。対する相手はかつて下した香良洲高校。余裕綽々…というか慢心してますね。かつて勝ったことがあるとはいえ、都合のいい記憶ばかり見て、自分たちが"挑戦者"だということを完全に忘れています(個人的には漫画『黒子のバスケ』でも同じような状況があったのを思い出しました)。これはいけません。
 南雲先生が引き締めてくれたおかげで(8回にようやくですが)手堅く1点を先制し勝ちましたが、危なかったですね。久我原くんも言った通り「調子に乗ってここまできた」からこその落とし穴ですね。まあ「落とし穴」と言っても自分が掘ったうえに埋めようとすれば埋められる穴ですが。

 一方、星葉高校も順調に勝ち上がっています。エースの児玉くんは終盤でも150km/hの速球を投げられ、4番の江戸川くんは大会打率5割超えかつ長打力も十二分という手強い相手。越山ナインの「俺が打てば勝てる」「俺が抑えれば勝てる」という発言は調子に乗りまくった慢心にも聞こえます(実際そういう面もあるとは思う)が、それだけ自信がついているという証。
 翔くんと児玉くん江戸川くんは今でも互いの勝利を賞賛できるほどの仲なのは微笑ましいですが、それでも次(準決勝)の対戦相手とだけあってバチバチ。児玉くん江戸川くんの「甲子園で勝てるのは一校だけ」そして「その玉座に座るのは自分たちのような『研鑽を積み重ねた強豪』であるべき」という言葉は冷徹にも聞こえましたが、彼らの「強豪レギュラーとしてのプライド」が伺えました。挑戦者に「勝ちたい」「上へ行きたい」と言う気持ちがあるのは当然ですが、王者にもそういった気持ち・意地はある。何より「強豪校のレギュラー」ということは、入学前も後も「それだけ多くの競争相手に勝ってきた」ことの表れ。相手の強さを認めこそすれど、負けるのはそれまで戦ってきた数多のライバルたちに顔向けできないというプライドをもって挑んでいるように感じられました。大河ドラマ『どうする家康』のV6天魔王織田信長みたいですね。

 一方、樹生おじいちゃんの視力低下(緑内障?)は抜き差しならないところへ来ています。頑なに手術を受けない理由は「失敗したら何も見えなくなる」「翔くんの笑顔を見ていたいから」。どこまでも孫煩悩なおじいちゃん…なのですが、杏奈さんの「このままじゃ何も見えなくなる」という台詞を聞く限り、手術が失敗したら失明するけど、手術を受けないままでも失明は確実。そう考えると結局は問題を先延ばしにしているだけのように思えます。

 準決勝戦前日、南雲先生はついにスタメンを発表します。そこで明かされたのは「先発投手・根室」「犬塚、椿谷はベンチスタート」。先生曰く「下剋上のためには『いつもと同じ』では勝てない」、言うなれば"奇襲"です。越山高校の試合を星葉高校のスカウトが観察していたことも踏まえると、データが豊富なエースやキャプテンより、データが少ない選手を先発させた方が相手の動揺を誘いやすいということでしょう(そのうえで久我原くんや楡くんはいつも通りスタメンなので、「最大限戦力を保ったうえでの"奇襲"」だとは思います)。
 ただし、「ベンチ20人全員で戦う」とも言っていたのでベンチスタートの2人にも出番はありそうですが…。翔くん自身もそれを受け入れ「俺に出来ることをする」と意気込みます。他メンバーの成長は比較的目立つ形で描かれていますが、人間的に見れば翔くんの成長も著しいでしょう。
 満を持して迎えた準決勝、越山高校 対 星葉高校。"奇襲"は成功するのでしょうか。次回、決戦です。

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