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『スーパー戦隊 Official Mook 21世紀 vol.2 忍風戦隊ハリケンジャー』 感想


概要

編者:講談社

初版発行:2017年7月1日
発行者:鈴木 哲
発行所:株式会社 講談社

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発行者による作品情報

より深く、詳しく「スーパー戦隊」を知る!資料性抜群のビジュアルムック。
◎スタッフ&キャストインタビュー 塩谷 瞬(ハリケンレッド/椎名鷹介役)、宮下隼一(脚本)、矢田晃一(東映エージェンシー)、日笠 淳(プロデューサー)
◎3大連載 玩具大研究 ヒットの秘密、デザインブラッシュアップ、スーパー戦隊サウンド秘史
◎アクション大特集 ほか

Apple Books|講談社『スーパー戦隊 Official Mook(オフィシャルムック) 21世紀 vol.2 忍風戦隊ハリケンジャー』

感想

シュシュッと参上した思い出たち。

 『百獣戦隊ガオレンジャー』もそうですが、幼い頃にテレビの前で応援したヒーローたちのデータブックを見るのはいいですね。下手すると自分のアルバム以上に感慨深い。

 本作の魅力はなんといっても「複数の戦隊チーム(忍風戦隊ハリケンジャー、電光石火ゴウライジャー、天空忍者シュリケンジャー)をそれぞれの思惑で同時に戦わせる」という「前代未聞の挑戦」「親しみやすいキャラクター」にあると思います。
 「前代未聞の挑戦」については、同年放送された『仮面ライダー龍騎』も有名ですね。ハリケンジャーの"挑戦"については、日笠さんも言っているように「忍者という題材にうまくマッチングした」という面は大きいでしょう。振り返ってみれば、ハリケンジャーとゴウライジャーの関係性(流派同士の対立)やジャカンジャの「暗黒七本槍」という幹部構成など、『スーパー戦隊』シリーズの展開としては斬新だけど『忍者もの』としての"王道"に則ったものが多いように感じます。
 「親しみやすいキャラクター」について。落ちこぼれから成長していく主人公たちや見た目は可愛いハムスター館長はもちろん、敵勢力である"宇宙忍群ジャカンジャ"にも「見た目は」コミカルで憎めない感じの者も多数("悪の組織"相応の凶暴さや冷酷さを併せ持つ者も多いですが、他作品と比べて"外道"までいく者は少ない印象)。そのうえそれぞれの異なる思惑や成長過程が織りなす物語は、良い意味でわかりやすくありながら豊潤。そのため、視聴者の皆さんが登場人物に感情移入しやすく、僕の同世代も含めて本作に夢中になる人が多いのには頷けます。

 加えて、スタッフもキャストも全力を尽くしているからこその名作という点も外せません。『未来戦隊タイムレンジャー』『仮面ライダークウガ』から「若手の登竜門」という側面も持つようになったスーパーヒーロータイム両シリーズですが、本作も例外ではないことは本巻に収められているインタビューからも伺えます。
 特に感銘を受けたのは、矢田さんの「特に子供番組では普遍的な部分は死守しないといけな主義なんです。」「よく「大いなるマンネリ」と言われますけど、そこには真実があると思いますよ。」という言葉。僕自身、挑戦や革新も重要だけど、「変えてはいけない部分を変えない」ことはそれ以上に重要と考えていて、「信頼を築くのは大変だが、失うのは一瞬」に繋がる話だと思います。あれもこれもと手を出すのは簡単ですが、そうした結果「何でもできるけど何にもできない」や「前の方が良かった」ということになっても後の祭り…ということは皆さんも多く目にしているのではないでしょうか。

 このシリーズを読むことで、「スーパーヒーロータイム」が何故子供だけでなく大人をも虜にするのか、推察するきっかけになれば幸いです。

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