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『ペンディングトレイン─8時23分、明日 君と』第6話「戦いの果て…気づいた想い」 感想

概要

放送局:TBS
放送日時:2023年5月26日(金曜日) 22時00分~22時54分

脚本:金子 ありさ
音楽:大間々 昂
プロデューサー:宮﨑 真佐子、丸山いづみ
演出:濱野 大輝
製作:TBSスパークル、TBS

番組公式サイト リンク

感想

男米澤、過去に誇れる姿を見せる。

 5号車組と6号車組の抗争が始まりました案の定である
 個人的にこういうサバイバルもので人類同士争う展開はかなり嫌いな部類なのですが、それでもそこに至るまでの過程は"群衆が暴徒化する流れ"そのものだなと感じ、「まあこれもヒトです。」程度には納得できるものでした(漫画『DEATH NOTE』に登場する死神・レムさながらに「人間という生き物は…実に醜い」とも思いましたが)。

 疑念が疑念を呼び、不必要な争いの火種となる。ここまでのものはないにしても、感情先行で動く人がいる限りなくならない状況ですね。個人的に(主張の是非は置いといて)渡部玲奈(演:古川琴音)の「自分の主張に異を唱えられた途端、感情論むき出しで悲劇のヒロイン(orヒーロー)気取って同情を引こうとする」という態度と、こういう態度の人間に限って主張を押し通せる展開がかなり生々しい嫌悪感を抱きました。
 この展開の最も空虚なポイントは、争ったところで何の(少なくとも「奪い合ってでも手に入れたいほどの」)利益もないという点だと思います。食料にせよ資源にせよ、現状他者から奪う必要性はない。さらに言えば「間違いなく、奪い合うよりは分け合う方が合理的」な状況。(今回と比べれば)「奪ってでも…」となるくらい困窮している分、ベタなゾンビサバイバルもので発生するそういった展開の方が見ていられるレベルです(嫌いですけどね)。
 その分、米澤の魂の叫びが心に響きました。この様を見せつけられたら「こんなになるなら、人類が滅んで正解だな」と思ってしまう人は多くなる。ただでさえ数少ない生き残りなのだから、せめて過去(つまり現代)の人間に恥ずかしくない生き方をしたい。冒頭で「何者にもなれず、何も成し遂げられず(そして、どこかそんな自分を諦め受け入れていた)」な米ちゃんを見たからか、世界(合計500人もいないけど)に向けて大々的な主張を届けた、いわば初めて"何者か"になれた彼の姿は胸熱でした。
 主張が最も届いてほしい相手に限って何も感じ取っていないところ含めて、(状況は"リアル"とは程遠いのに)ある種のリアリティを感じます。

 個人的に6号車の上層部、少なくとも植村憲正(演:ウエンツ瑛士)は始めから5号車を乗っ取る算段で、彼が言った「負けたら僕たちが"奪われる側"になるぞ!」という旨の台詞は大衆を扇動するための口車のように感じました。もっとも、あの状況に便乗するというなら、6号車の人達はチンピラ3人組を自分たちで"処理"して「こいつらには僕たちも迷惑してたんですよー^^;」って接した方が変な禍根を残さない(そして付け入る隙を作りやすい)んじゃないかなとも思いましたが。実際あいつらが攻め入るのは想定外だったようなので。
 それでいうと、あのチンピラ3人組は山本俊介(演:萩原聖人)の私兵というわけでもないし、山本自身6号車で恐怖政治を敷いていたわけではない(「勢いでとはいえ、同乗していた殺人犯を返り討ちにしてしまった」という事実そのものが"恐怖"として機能していた可能性はありますが)のはちょっと意外でした。

 余談ですが、白浜、萱島、江口が並び立つ姿はニチアサを見ているかのような熱さがありました。(詳しくは第1話の感想を参照)

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