『最高のイラストを作り出す!魅力的な「キャラ顔」の描き方』 感想
概要
著者:株式会社サイドランチ
イラストレーター:エイチ、桓田 楠末、クマつき、くろでこ、玄米、逆月酒乱、月森フユカ、保志乃シホ、吉村拓也、山上七生
初版発行:2021年
発行人:小川 亨
編集人:高橋 隆志
発行所:株式会社インプレス
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発行者による作品情報
感想
「人物の顔をより上手く描きたい」「より多彩なキャラクター、彼らに合わせた表情を描き分けられるようになりたい」という方に非常におススメです。
まず「Chapter1 魅力的な顔の描き方」では顔そのものの年齢や性別、さらには画風(デフォルメのきかせ具合)によるパーツ配置の違いと言った基礎知識を学べます。目鼻立ちだけではなく、首や髪型、帽子などについても触れられており、"表情"だけでなく"顔全体"について学ぶことができます。
とはいえ、「顔の描き方」について述べた大抵の書籍では書かれている事柄が多いので、そういった知識は既に持っている方は復習を兼ねての流し読みでも構わないかなとは思いました。
続いて、「Chapter2 魅力を引き出す表情」では、表情をより魅力的に描くためのポイントを紹介してくれます。この時点でも一つの感情表現に対して多彩なアプローチがなされている(たとえば、「怒り」の表情としてオーソドックスな怒り顔のほか「笑顔で怒る」「静かな怒り」といったものも描かれている)ので、「どういう表情をするのがこのキャラクターらしいか」が定まっていれば、この章まででもある程度表情の描き分けは出来るかもしれません。
さらに、喜怒哀楽はもちろん、「安心の表情」や「緊張の表情」など、比較的マイナーというか割愛されやすいものも丁寧な解説付きで描かれているので、後の「Chapter3 キャラクターの描き分け」ともども"表情"について実に多種多様かつ具体的に取り扱っているなと感じました。
最後に、「Chapter3 キャラクターの描き分け」では、"描き分け"という点についてさらに掘り下げ、「元気」「クール」「中性的」など、描きたいキャラクターの性格や属性に基づいて顔立ちや表情の特徴を解説しています。
それぞれのキャラクターについてのポイントが掴みやすく、「こういったキャラクターを表現したいときには、こういう佇まいや顔つきにすればいいのか」ということが非常にわかりやすかったです。
また、どのキャラクターも「生きた表情をしている」というか、それぞれが今にも動き出しそうな"生命感"がありました。恐らくこの本の為に描いたキャラクターなのだと思われますが、ここまでキャラの"生命感""背景"を感じるのはイラストレーターさんの腕前でしょうか。クリエイターは凄い。
この本を読み、得た知識技術を参考にして描けば、より「生きた」キャラクターを描けるようになる、そう思わせてくれる一冊でした。