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『ONE DAY ~聖夜のから騒ぎ~』 第10話「12月24日17時50分~20時6分」 感想
概要
放送局:フジテレビ系列
放送日時:2023年12月11日(月曜日) 21時00分~21時54分
脚本:徳永 友一
音楽:佐藤 直紀
主題歌:ミイナ・オカベ「Flashback feat. Daichi Yamamoto」 (ユニバーサル・インターナショナル)
プロデュース:成河 広明
演出:三橋 利行
製作・著作:フジテレビ
番組公式サイト リンク
感想
記憶が戻り、潜入先に情が移った(かに見える)潜入捜査官。犯罪組織の麻薬取引現場を押さえようとする報道班。大切な人のため、聖夜のディナーを成功させようとする洋食屋。それぞれの想いが交錯し、物語はクライマックスへと駒を進めます。
これまでから一転、国際犯罪組織のリーダーであるにもかかわらずミズキが可哀想に思えてきました。部下には見限られ、"オヤジ"(演:遠藤憲一)には「使えない」と判断され、右腕(誠司)の正体は潜入捜査官。「なにが組織の長だ」と言いたくなるような四面楚歌・孤立無援です。大河ドラマ『鎌倉殿の13人』といい、中川大志さんに"可哀想な青年"を演じさせるのが流行っているのでしょうか。それゆえ、勇太に「もう俺を裏切りませんよね?」と訊いた場面には様々な悲哀がにじみ出ていました。具体的には「信じていたものが、一気に瓦解する悲しみ」「誠司のことを疑いつつも、心のどこかで信じていたい(彼の言葉に偽りがあってほしくない)気持ち」「たとえ『吹けば飛ぶような蜘蛛の糸』であっても、縋らずにはいられない自分への情けなさ」。国際犯罪組織をまとめる大犯罪者とは思えない哀れさです。
一方、蜜谷に嵌められた狩宮は(バスジャックに居合わせた)時生シェフや(時生シェフに「誠司からの伝言」を預かっていると思われる)桔梗さんに接触し、「警察内部に"アネモネ"と繋がっている者がいる」という事実を突きつけられました。
この事実は彼女にとって衝撃でしょう。露骨な「信念に燃える女」みたいな描写こそありませんが、仮にもいち警察官であれば「警察の正義」は信じているはず。彼女もまた「信じていたものが瓦解してしまった」人間と言えるでしょう。
とはいえ、そこで動揺に負けず「その奥の隠された真実」を桔梗さんと協力して探ろうとするところに、彼女の「警察官としての矜持」を感じました。そこで「"アネモネ"が関与していると思われ、なおかつ警察が動かなかった事件」全てに関与していた者(=内通者の可能性が高い者)として浮かび上がったのは、一ノ瀬捜査一課長。「表では警察官として実績を上げながら、裏では犯罪組織と繋がり利益を得ているほか、情報操作によって組織から損害を遠ざける」と考えると、無敵ですね。漫画『DEATH NOTE』で喩えるなら「"キラ"が表向き"L"として活動している」ようなもの(Lは私立探偵だからちょっと違うかもしれないですが…)。そんな警察上層部は嫌ですね。
時を同じくして、無事ディナーを提供できる『葵亭』。開店前に時生シェフが店員の皆さん(+山田警察官)に言った「みんなのおかげで、今夜のディナーを振る舞える」という台詞、月並みですが感動しました。「あの誰も彼も『俺が俺が』だった彼らが成長したなあ…(泣)」って、ドラマ『ルーキーズ』や『下剋上球児』の顧問たちみたいな気持ちです(あそこまでではありませんが、みんなそれなりに問題児でしたからね…)。
肝心のメインディッシュお披露目は、どうやら次回に持ち越しの模様。料理好きとしては非常に楽しみです。
そして勇太にはピンチが。警察や横浜テレビと協力して"アネモネ"を潰そうとしていることはミズキに見抜かれていました。いくら冒頭で「自分を裏切らないでほしい」という旨の弱音を吐いたとはいえ、「誠司が潜入捜査官とわかった」うえで「誠司が記憶を取り戻した」となれば、その可能性を疑わないはずがない。
両手を拘束され、取引場所を変更させられてしまいます。勇太はもちろん、警察や横浜テレビにとっても予期せぬピンチ。勇太なら切り抜ける算段を考えている…と思いたいですが、最終回前にして最大のピンチ。果たして攻略法はいかほどか、1話60分弱なのが惜しいくらい続きが楽しみです。「録画視聴なんだから連続してみればいいだろ」と言ってはいけない。
その横浜テレビはというと、目論見通り大型歌番組を中断して報道特集を開始。してやったり…でもあるのですが、造反行為なのは否定できない。実行前に言った通り「この後首チョンパ(懲戒免職)」でしょうな…。再就職が大変だ…。
『葵亭』はともかく、勇太・警察・横浜テレビにとっては空前絶後の大ピンチ。最終回は大団円か全滅か、目に焼き付けたいです。