『下剋上球児』 第9話「魂を燃やせ!最強の宿敵と運命の決戦!」 感想
概要
放送局:TBS系列
放送日時:2023年12月10日(日曜日) 21時00分~21時54分
原案…菊地 高弘『下剋上球児』(カンゼン刊)
脚本…奥寺 佐渡子
音楽…jizue
主題歌…Superfly「Ashes」
プロデュース…新井 順子
演出…塚原あゆ子
編成…黎 景怡、広瀬 泰斗
製作…TBSスパークル、TBS
番組公式サイト リンク
感想
因縁深い越山高校 対 星葉学園高校、いよいよ戦いの火蓋は切って落とされました。星葉学園高校のエース・児玉くんは今回「5番ライト」で先発出場、先発は初登場の久隆くんです。"奇襲"をかけるのはこちらだけではない、というか越山高校からしたら「"奇襲"をかけたつもりが、こちらがかけられていた」と言う状況、さすがは南雲先生の恩師・賀門監督といったところでしょうか。そしてこれは賀門監督はじめ星葉学園高校が越山高校を「力をぶつけ合う好敵手として認めた」という証だと思います。
"奇襲"によって動揺が生じたのか、越山高校は立ち上がりからガタガタ。死球やエラーなどのミスが重なり失点してしまいました。それでも江戸川くんの犠牲フライ1点で留めたのは不幸中の幸い、かつてより心身ともに強くなったことの表れでしょう。
試合が動いたのは4回裏(越山高校の攻撃)。南雲先生の"喝"によって熱さを取り戻した日沖くん、楡くんによって同点に。スポ根ものならよくある一幕ですが、元々が"ザン高"だっただけに、叱咤激励に対して不貞腐れたりしょげたりすることなく闘志むき出しで向かっていく姿には成長を感じ、目頭を熱くせずにはいられませんでした。いつの間にか彼らの親御さんになったかのような感覚でドラマを見ています。
そして6回裏、星葉学園高校は投手を児玉くんに交代。それでも怯まぬ越山高校、エースを引きずり出した勢いそのままになんとスクイズでリードを奪ってしまいました。ただしそれで終わらないのが王者・星葉学園。一打同点チャンスで4番の江戸川くんに回しました。犬塚くんとしては(根室くんの球数や疲労も考えたうえで)ここで自分が投げたいと思ったに違いないのですが、南雲先生に伝令を頼まれたら快く引き受け、根室くんが抑えたら誰よりも喜ぶ。仲間とともに成長したからこそ、その仲間を信じられるようになったからこそここまで来た、そんな犬塚くんの成長をひしひしと感じました。
ただ、試練が波のように襲い来るのが挑戦者の運命。久我原くんと楡くんの交錯(このプレーの中で星葉学園高校に2点が入り、逆転されてしまった)による試合中断をきっかけに、星葉学園高校の応援団から越山高校や南雲先生への中傷が飛ぶように。越山高校の応援団もぶち切れ、いち視聴者に過ぎない僕自身も「今それを言うのは場違いだろう」「聴くに堪えない」と感じるほどの野次、それを諫めたのは賀門監督。日頃より応援してくれることに感謝しつつ、「グラウンドにいる者も皆真剣にやっている」「大人として失望させないでいただきたい」と説得し、野次も止みました。重ね重ねさすが賀門監督、その正々堂々とした姿勢はひとりの大人として「こういう男になりたい」と思わせてくれる風格が漂っていました。
そして9回裏。児玉くんの好投球に対し椿谷くん日沖くんが粘り(ただし両者三振)、その志を受け継ぐかのように楡くん三鬼くんが出塁して2アウト一二塁。そして代打・犬塚くん。リトル時代からのライバル対決は、犬塚くんの2点サヨナラタイムリーで締められました。犬塚くんの「俺に出来ることをやる」という心意気が成し遂げた決勝打でありますが、往年の名選手でも「レギュラーとはまた違った緊張感や大変さがある」と述べる「終盤の代打」でよくぞ最高の結果を出してくれたなと思いました。
惜しくもサヨナラ負けを喫してしまった星葉学園高校ですが、それでも賀門監督は生徒たちに「胸を張れ」とシンプルにこれまでの奮闘を称え、星葉ナインも越山ナインと抱き合って健闘を称えるなど、賀門監督の教えが良いことが伺えるシーンがここでも見られました。強いチーム・選手ほど「自分の実力に真っ当なプライドを持っている」からこそグッドルーザーであれるんだなって感じます。
打ちも打ったり守りも守ったり、日曜劇場といえどここまで視聴者を感情移入させ、熱くさせるドラマはそうないでしょう。
しかし、ここまで絶好調の越山高校に最後の(?)試練が。丹羽校長が緊急会議を開いて言うことには「このままでは越山高校は甲子園に出場できない」。果たして何故出場できないのか、どうすれば出場できるのか、最後の戦いが幕を開けます。
今回は解説の田中さんとしてあの田中将大投手(楽天)が出演しました。まさかまさかのビッグサプライズゲストに視聴者も"奇襲"をかけられてしまいました。