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『ペンディングトレイン─8時23分、明日 君と』第7話「抱きしめられた涙」 感想
概要
放送局:TBS
放送日時:2023年6月2日(金曜日) 22時00分~22時54分
脚本:金子 ありさ
音楽:大間々 昂
プロデューサー:宮﨑 真佐子、丸山いづみ
演出:田中 健太
製作:TBSスパークル、TBS
番組公式サイト リンク
感想
自分を"一匹狼"と思い込んでいる
"フォア・ザ・チームの塊"
萱島直哉
萱島なりの優しさが存分に伺える回でした。
「あっちの方が性に合いそう」なんて理由で6号車に移住したかと思えば、商売道具を賭けてまで5号車に釣り場や塩を提供したり(移住は牽制の意図もあったのでは?)、過去(というか現代)の弟や三島さんに対しては「自分を忘れて、笑っていてほしい」と言ったり。いちいち優しさを隠そうとするけれど、チーム(5号車)のために動いてくれている。
「他人に期待・依存しない」と言えば聞こえはいいですが、その姿勢は「(自分の優しさを受け入れてもらえなかった時のための)逃げ」に映るのもまた事実。萱島はああ見えて"自己肯定感"は低いんだなと感じました(勘違いされがちですが、"自己肯定感"とは「俺TUEEEE」的な「根拠の無い自信」ではなく、「自分自身がありのままの自分を尊重できる心持ち」のことです)。所々挟まれた回想から見ても、少なくとも多感な時期に「"ありのままの自分"をそのまま受け入れてくれる存在」がいなかったのは想像にかたくない。挙句、"精一杯の愛情・優しさ"を注いだ相手(達哉)にはそれが届いていないことを思い知らされる。それは痛い時に「痛い」と言えない…みたいな立居振舞いにもなります。
一方で、江口の掘り下げも行われましたね。聡明さゆえに周りが自分に"求める"ものがわかり、自然にそう振る舞える。内心ではその周囲に辟易しつつも、根底では誰よりも「周囲の求める優等生像」に縛られている。ここまでイケメンでも秀才でもないですが、「周囲が自分に求める"キャラ"」を演じる経験が多かった身としては彼の情けなさ含め共感するところが多かったです。
今回に始まったことではありませんが、寺崎社長(演:松雪泰子)、さすがの精神的支柱っぷりですね。序盤では「やたら不平不満不機嫌ぶちまける耳障りなおばさん」だった彼女ですが、生きる気力が復活してからは社長経験に基づく知識やリーダーシップを活かして大活躍。人間"適材適所"があるって大事だなとしみじみ思いました。
前回話した「プランAは失敗する」と今回の「レジリエンス」は心に刻みたいです。
そして、今回でタイムスリップについて大きな進展がありました。ワームホールを繋げることによって現代に帰れるかもしれない。「どうやってワームホールを繋げるか」や「タイムスリップできるだけのエネルギーはどうするのか」など、問題点は山積みですが、ひとまずは希望の出現です。