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『どうする家康』 第46回「大坂の陣」 感想


概要

放送局:NHK 総合テレビ、NHK BSプレミアム、NHK BS4K
放送日時:2023年12月3日(日曜日) 18時00分~18時45分(BSP、BS4K)
     2023年12月3日(日曜日) 20時00分~20時45分(総合)

脚本:古沢 良太
音楽:稲本 響
語り:寺島 しのぶ

番組公式サイト リンク

感想

 「方広寺の鐘の銘」を巡り、事ここに極まった徳川と豊臣の対立。物語はいよいよ"徳川家康 最後の戦"となる"大坂の陣"です。

 交渉は双方強硬な姿勢を見せ決裂。橋渡し役を務めた片桐且元(演:川島潤哉)の胃腸はボロボロなのが伝わってきます…。お労しい。
 こうして遂に"大坂の陣"が始まってしまいました。そこに臨むにあたり、家康は「信長や秀吉と同じ汚名を背負ってあの世へ行く」という決意を固めます。あくまで"戦なき世"を創るためだったとはいえ、幾度となく戦に出向き、何千何万を殺してきた。戦をするのは、"人殺し"の汚名を背負うのは自分で最後にする(秀忠以降には戦をさせない)という彼なりの"大義"と"覚悟"が見て取れます。彼自身できることなら戦をしたくないだろうに、心を痛めつつもその"大義"に殉じ、後の世を清めるために自分が"穢れ"を全て背負うという哀しき"覚悟"です。
 "大坂 冬の陣"の序盤は徳川が優勢ですが、真田信繁が立ちはだかる"真田丸"に手こずります。2016年の大河ドラマ『真田丸』ではこの戦いが雄々しく描かれていた記憶がありますが、今作では曇り空も相まって「戦の空虚さ」「無駄な犠牲」を強調して描いているように思われます。今作の家康から見た"大坂の陣"はそういうものだったということが見て取れます。
 そして家康の「こんな戦はさっさと終わらせたい」「無駄な犠牲は出したくない」という想いは、大筒の発射を決意させます。その威力は絶大で、大坂城の被害は壊滅的。もはや"蹂躙"としか言いようがないレベルで、秀忠でさえ中止を懇願する始末でしたが、家康が発した言葉は「これが戦じゃ。この世で最も醜く愚かな、人の所業じゃ」。この言葉には「家康の戦を嫌う気持ち」だけでなく「戦をけしかけた豊臣への憤り」や「犠牲を出した事への悲しみ」「"汚名"を背負って死ぬ覚悟」なども伺える、深みのある台詞でした。

 次回以降、"徳川家康 最後の戦"はどのように幕を閉じるのか。"神の君"はどのような天下にしていくのか。最期まで目が離せません。

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