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『「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる 「繊細さん」の本』 感想
概要
著者:武田 友紀
初版発行:2018年8月5日
デジタル版発行:2018年8月5日
発行者:土井 尚道
発行所:株式会社飛鳥新社
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発行者による作品情報
ささいなことが気になって疲れる人へ──
自分もHSPである専門カウンセラーだからこそ教えられる「超・実践テクニック」集!
◎まわりに機嫌悪い人がいるだけで緊張する
◎相手が気を悪くすると思うと断れない
◎細かいとこまで気づいてしまい、仕事に時間がかかる
◎疲れやすく、ストレスが体調に出やすい
⇒そんな「繊細さん」(HSP)たちから、「人間関係も仕事もラクになった!」と大評判
予約殺到の「HSP(とても敏感な人)専門カウンセラー」による初めての本です!
感想
テレビ番組『世界一受けたい授業』などでも取り上げられて、一定以上の知名度を得た「HSP(繊細さん)」および本書。本書では、HSPの特徴から生活の様々な場面で「より生きやすくなる方法」、ひいては「自分らしく生きる=自身の繊細さをプラスに活用する方法」まで体系立てて述べられています。「繊細さんの感覚に共感しつつ、より生きやすくなるためのキチンとした"理"がある」本書は、流石「日本における"HSP専門カウンセラー"の第一人者」だなと感じました。
本書は"繊細さん"の様々な悩みを綴り、それに対する"因果関係"や簡単な"対応方法"を述べていくのですが、"因果関係"は「自分にとって日常そのものな状態や情動」で共感できるうえに、"対応方法"も本当に簡単なものばかり。たとえば「触覚の刺激が気になる」なら「心地よい素材の服で肌を覆う」、「用事(家事や仕事はもちろん、趣味などの"楽しいイベント"も含む)の後はすごく疲れる」なら「イベントの後には休日(=全くの"空白日")を入れる」といったもの。読んでいて「え、こんな簡単なことで楽になれるの?」と思うほど呆気ないもので、でも実際にやってみると本当に落ち着く。ある種「丁寧な暮らし」に近いところがあり、実践するだけで満たされるものはあると思います。
また、次の二つの文章は"繊細さん"以外にも送りたいものと個人的に感じました。
体が感じる小さなストレスに耳を傾け、ケアすることで、「実は無理していたんだな」と気づくことができます。自分の状態を受け止めることで、自分を鞭打つがんばりが減り、心からやりたいと思えることだけに注力できるようになってきたのです。
もし「なんでこんなに疲れちゃったんだろう」「もっとがんばらないといけないのに!」と自分を鞭打つ声が聞こえてきたら、心をゆるめるサインです。
(僕自身もそうですが)「頑張りすぎ」で心身を壊す方は現代に多いと感じています。なんで頑張りすぎるかというと、そうしないと「他者に見捨てられてしまうから」、言うなれば"他人軸"で生きてしまっているからです。当然、"他人軸"でいればSOSサインも含めた"自分の本心"は後回しになって、気づいた時には手遅れ、というわけ(さらに言えば、その"他人"は助けてもくれないし責任もとらない)です。
だからこそ"他人軸"で生きてしまっている方には、手遅れになる前に一度立ち止まって"自分の本心"に耳を傾けてほしいです。自分を助けられるのは自分だけなのですから。
個人的に最も感銘を受けたのは次の文です。
人間関係の基本構造とは、「表に出している自分」に合う人が集まってくる、というシンプルな事実です。つまり、「本当の自分」を抑えて殻をかぶっていると、その「殻」に合う人が集まってきてしまうのです。
思い返せば自分の人生はだいたい「殻」に合う人しかいなかったなあ、と少々耳が痛い話でもあるのですが、これは本当にその通り。
簡潔に言えば、嫌なことをされて内心どんなに不満や憎悪を抱えていようと、表向き嫌な顔をしなければ「こいつになら何をしても許される」と思い上がった人ばかりが集まり、嫌なことばかりされる人間関係になってしまう、というわけです。けれど裏を返せば、キチンと「嫌」と言ってしまえば、その過程で"痛み"は伴いますが次に集まる人(あるいは残る人)は「こういうことは嫌なんだな」と分別のある人だけが集まり、より良い人間関係になれる、というわけでもあります。
過去は変えられませんが未来は変えられるので、これからは嫌なことに対して「嫌」と言うようにしたいです。そしてそれで疎遠にならなかった人だけを大事にしたいです。9割くらいいなくなるだろうけど