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『どうする家康』 第37回「さらば三河家臣団」 感想
概要
放送局:NHK 総合テレビ、NHK BSプレミアム、NHK BS4K
放送日時:2023年10月1日(日曜日) 18時00分~18時45分(BSP、BS4K)
2023年10月1日(日曜日) 20時00分~20時45分(総合)
脚本:古沢 良太
音楽:稲本 響
語り:寺島 しのぶ
番組公式サイト リンク
感想
中間管理録トクガワ 再び
今回も今回で、上司(秀吉)の理不尽に振り回されます。北条攻めを急かされ、北条領である相模や武蔵などと引き換えに三河など元々の領地を取り上げられ、挙句の果てに(「家臣を一国一城の主にする」という名目ですが)三河家臣団がバラバラにさせられる。中間管理職的な悲哀というか苦労というか、そういった心情が伺えます。
(「立場的に『中間管理職』ではないよな…?」と思いつつも「トップがアレだから…似たようなもんか」となるところも元ネタと通ずるところ…です…かね?)
家康にとって特に苦しかったのは、北条領を"強奪"したことでしょう。
「天下人である豊臣秀吉に従ってもらい、所領を明け渡してもらう」「北条が手放した領地を褒美として譲り受ける」と言えば(少なくとも時代的には)筋は通っているでしょうが、そもそも秀吉の言動に「北条に所領を明け渡させるための"大義"」が見えない。内心「自分のしていることは理に適っているのか?そこに義はあるのか?」と自問しながらだったことは想像に難くありません。
ましてや、北条はかつて同じ"夢"を見た同志。「奪わず、奪われず」という"夢"を共に見た相手から奪わねばならないというのは、非常に辛い。北条氏政(演:駿河太郎)が別れ際に「("戦なき世"の夢を見ることの)何がいけなかったのか」と吐き捨てたのに対して「時代は変わったのでございます」と苦し紛れにしか言えなかったことからも、その胸中は複雑怪奇を極めていたことが伺えます。
そして、北条攻めが終わった後で、家康は家臣たちに国替えのことを告げます。罵詈雑言の嵐を想像していた視聴者は少なくなかったでしょうし、家康自身もそうだったと思います。
が、帰ってきた答えはサッパリしたもの。実は本多正信から大久保忠世(演:小手伸也)を中継して伝えられていたとはいえ、「住み慣れた故郷とお別れ」とは思えないほど爽やか。むしろ「新たな門出」としてやる気満々。家康が家臣たちに各々の所領を告げ、エールを送るシーンに至っては、卒業式の先生と生徒に見えてきました。
それぞれが新たな出発に勤しむ最中、江戸に届けられた書状には明を攻める旨が。案の定、秀吉の欲は留まるところを知らなかった。"戦なき世"への道は遠い。