『どうする家康』 第18回「真・三方ヶ原合戦」 感想
概要
放送局:NHK 総合テレビ、NHK BSプレミアム、NHK BS4K
放送日時:2023年5月14日(日曜日) 18時00分~18時45分(BSP、BS4K)
2023年5月14日(日曜日) 20時00分~20時45分(総合)
脚本:古沢 良太
音楽:稲本 響
語り:寺島 しのぶ
番組公式サイト リンク
感想
武田軍に完膚なきまでに叩きのめされた徳川軍、その三方ヶ原合戦の全容が描かれています。
まずなんといっても武田軍の圧倒的な強さ。攻め手と逃げ腰という差こそあれど、一方的な展開。本多忠真(演:波岡一喜)をはじめ、多くの兵がなすすべもなく討たれました。本作の泥臭さを感じる合戦描写を余すところなく活かした描き方だったと思います。
何より、(先を急いでいたとはいえ)徳川軍の"空城の計"を見抜いた上であえて見逃した信玄にはラスボスの風格すら感じられ、武田推しとはいえ恐怖すら覚えました。
そして、その最中でひとつの事実が明らかになりました。家康が夏目広次(演:甲本雅裕)の名前を覚えられなかった理由です。かつて彼は夏目吉信であり、竹千代(後の家康)が織田方に拐われたことを悔いて切腹しようとしました。その時、他の者に止められ、「腹を切ったつもりで、別の者として生きる」ことを決意し、広次と名乗ったのです。
そして、家康は彼を呼ぶ時「信(のぶ)」という字は必ず入れていた。
一見、名前を間違えるほど関係が希薄かに見えた両者。まさかそれこそが彼らの絆の証だったとは。
そこからは史実通り。夏目は家康の甲冑を身にまとって彼の名を騙り、身代わりの役目を果たしたのでした。浜松城に生還した家康は、傷心しつつも夏目や忠真、そして名も無き兵達の犠牲の上に生かされていることを自覚し、奮起するのでした。
このくだりもまた、本作の味と言える漫画的なストーリー展開の仕方をふんだんに出してきたなと思います。
一方の武田軍もまた、苦難の予感が。
先を急ぐ信玄の様子は、浜松を出る時と京までの道中で見比べると目に見えて弱っていました。そして、ラストで知らされた甲斐国への急なUターンと、籠?の中で静かに目を閉じる信玄。これはそういうことです。
天下統一筆頭候補だった巨星の異変。この報せが、良くも悪くも各武将に刺激となったのは想像にかたくありません。
さらなる混乱のさなか、天下泰平に向けてどう歩みを進めるのか、次回以降も見ものです。