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歴代No.1旨いメンチカツが、ジビエのメンチカツだった!

先日、くどやま駅内にあるおむすび屋「くど」でジビエのメンチカツをいただいた時、あまりにもおいしかったのでなんのジビエ肉ですか?とうかがった所、私もマルシェ事業で以前からお世話になっているひなたの杜、湯川さんのさばいたイノシシ肉であると教えていただいた。
(本当に県内の食に関わる方々は、いつもどこかでつながっている感ある・・・!)

湯川さんとは2年前に知り合い、ジビエの解体を見学させていただいたこともあり、その後も継続的に交流をさせていただいている。

今回、イノシシミンチの旨さを確信したタイミングで、あらためてイノシシ肉について語ってみたいと思う。

以前シェフとのジビエ対談にご協力いただいた時のお写真。左側が湯川さん。

豚肉の代替品じゃない!イノシシのポテンシャル

イノシシのお肉が好きな人は、その脂に惚れ込んでいる人が多い。
イノシシの脂身は、豚の脂身よりも格段にこってりとしているが、殆ど胃にもたれることがない。そのお肉には甘さのような独特の旨味やコクがあり、焼くとシャキシャキとした独特の歯ごたえも楽しめる。上質なイノシシを使った「ぼたん鍋」は、食べ終わった後のお鍋をそのまま置いておいても脂が固まらないというから驚きだ。
お肉、特に脂身の部分は動物が生前エサとして食べていたものから作られるというが、和歌山で捕獲される野生のイノシシは、木のみとドングリを主食にしている。

赤身も美しい和歌山ジビエ

世界で一番有名なブランド豚「イベリコ豚 べジョータ」は、2ヶ月以上どんぐりの実を主食として食べさせられている。 どんぐりだけでなく、下草やハーブ、野生のアスパラやきのこなども食べるらしい。和歌山のイノシシとイベリコ豚 べジョータは同じ餌で育っているのだから、どちらも同じように、脂身の質の高さに定評があるのかもしれない。

いいジビエは臭くない。うまさを決める加工の技術

そんなポテンシャルの高い猪でも、加工者の技術や管理の仕方によっては臭みが出ることがある。質の悪いジビエが出回ることで、「ジビエが臭い!」というイメージがついてしまっているのはジビエ好きの私にとっては結構悲しい。そこで、「紀州イチの捌きの技術」と呼ばれる湯川さんに、なぜ湯川さんのジビエはおいしいのかきいてみると、意外な答えが返ってきた。

なんと、湯川さん、狩猟で仕留められたジビエは捌かないというのだ。ジビエ=狩猟のイメージがあるが、趣味で撃たれた鹿やイノシシは死後時間がたってから加工場に持ち込まれるので状態が悪くなっていたり、素人が血抜きをしている為、抜き切れていない血が体中にまわって臭みが出ていたりするのだそう。

湯川さんが加工するのは、罠にかかった「生きている状態」の鹿やイノシシのみ。湯川さんが自ら止め刺しを行い、放血をさせてから加工所に持ち込み、解体するのだ。
一度解体を見せていただいた際に驚いたのは、お肉を置いてもまな板にほとんど血が付かないこと!最高品質のお肉を、最高の状態で加工しているので臭みが全くなく、ジビエそのもの旨味が楽しめる。

ジビエをさばく湯川さん。まな板にはほとんど血が付いていない。

おいしいだけじゃない、鉄分豊富なイノシシ

イノシシ肉は豚肉とさほど変わらないカロリー・脂質だが、鉄分が4倍近く含まれている。鉄分は人の体内では合成することができないため、食べ物から補わなければならないが、生レバーなど普段の食事で意識しても取り入れ難いものも多い。

使いやすい猪のミンチをストックしておけば、手軽に普段のお料理にも取り入れられそうで嬉しい。鉄分だけではなく、ビタミンB12も豊富に含まれているらしい(こちらは豚肉の3倍!)。
健康食としてジビエが注目されているのは、このようになかなか取り入れ難い栄養素を多く含んでいるからかもしれない。

イノシシ肉のミンチは 100g ¥700~。

イノシシミンチのおいしい使い方

イノシシミンチは食感や風味は豚に近い。脂がこってりしているのと、少し甘いような風味があるので、餃子やワンタンのたねにすれば旨味の溶け込んだ肉汁が存分に味わえる。
以前、イノシシミンチを使ってイタリアの郷土料理「リーゾエスピナーチ」を作っていただいたことがあるが、こちらもミンチをそのままホウレンソウのスープと煮込むので、脂の旨味を無駄にしないおいしい食べ方だ。
レシピもご提供いただいているので、こちらもチェックしてみてほしい。

イノシシのリーゾエスピナーチ。ホウレンソウは旬の葉物野菜に変更しても◎

この他、ミンチを贅沢に使ってメンチカツやハンバーグにするのもおススメ。ミンチになっているとさまざまな使い方が出来、お料理にも活用しやすいので本当に重宝する。

さいごに

近隣の子供の安全を守るため、また農作物の被害を防ぐためにジビエを捕まえはじめた湯川さん。とらえたイノシシや鹿を無駄にせず、おいしく召し上がっていただけるように日々捌きの技術を高めている。
ご自身も色々なジビエを食べられてきているが、やはり高低差の高い和歌山の山を走り回っているジビエは実が閉まっていて旨味も凝縮されている、と湯川さんは話す。そもそもの素材が良いので、その旨味を活かす、というのはきっちりやっていきたいポイントだ。

湯川さんの加工した肉の質が良いという噂を聞き、全国各地からイタリアンやフレンチのシェフが見学に訪れることもしばしば。ホテルや高級レストランからの引き合いも多い。

ジビエは臭いというイメージを持たれている方がよくやってしまうのは、濃い味付けや焼きすぎ。湯川さんのお肉は是非塩だけ、などのシンプルな味付けで、軽く両面をあぶる程度の火の通しで召し上がってもらいたい。

▲湯川さんのさばいた絶品ジビエはこちらから!

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