2020/9/17 タトゥー施術は医行為ではないことに決まりました
最高裁判決なので確定した、と思います。
タトゥー施術は医行為ではありません!
だからどうした、と思われるかも知れませんが、個人的には衝撃的な判決です。
というのも、「医行為とは何か」というものをザックリ説明するのには
「本来なら傷害罪であるものが成立しないのが医行為」という説明がちょうど良かったからです。
しかし、タトゥーが医行為ではない、となると、この説明では不十分になってしまいました。
今回の判決では
「タトゥーは医学とは異質の美術に関する技能を要し、医師が独占して行う事態は想定し難い」
ということです。
「美術に関する技能を要し」というところが医師として悔しいですが、
ある有名な方も「(美しさについては非専門家である)医師が美術に関わるなんて美術への冒涜だ」といった趣旨のことをおっしゃっていたので、
一般的な医師への理解というものは、サイエンスの重鎮、ということなのだと思います。
さて、ここからは少し突っ込んでいきたいと思います。
医師と医行為などについてです。
(参考:厚生労働省.「医行為」について)
まず、医師以外は医業を行ってはいけないことが定められています。
(医師法 第17条)
医業とは、
医行為を、反復継続する意思をもって行うことであると解している
とあります。
そして、医行為とは、
当該行為を行うに当たり、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為
とされています。
今回の判決では、医行為について新たな解釈が加えられました。それが
「医行為について「医療および保健指導に属する行為のうち、医師が行うのでなければ保健衛生上、危害を生じる恐れのある行為」と定義。」とされたのです。(時事ドットコムニュース)
すなわち、文字だけで解釈すれば、
医師でなくとも、危害を生じる恐れのない行為であれば、医行為ではない
と解釈できそうです。
さらに拡大解釈するのであれば美容整形も医師以外でできそうなのですが、
美容整形については、積極的に社会参加ができるようになる、という意義が見いだされることから、社会医学的適応性があり、医行為であると解釈されることもあるようで、
すなわち医行為か否かで問題となるのは医学的適応性の有無、になるのではないかという議論も見られました。(萩原由美恵先生.美容整形と医師の刑事責任.より)
最終的に、「施術に伴う危険防止のため法規制を加えるのが相当なら、新たな立法によるべきだ」と判決では述べられたようで、解釈による判決ではなく、きちんと立法せよ、という趣旨のことを仰っていたので、これが先日の「制定法主義か」と勉強になりました。