悪魔の証明の突破方法
昔の上司に教えられた概念なのですが、結構営業してて直面するシーンが多いので、知っておいた方が良いかなと思うことを自分の思考の整理のためにも記載しました。
悪魔の証明
「無いこと」を証明するのは「あること」を証明するよりも難しいということです。
早速ですが例。
「神が存在しないという証拠は無い。ゆえに、神は存在する」
「サンタクロースが存在しないという証拠は無い。ゆえに、サンタクロースは存在する」
安倍さんも普通に言葉として使ってますね。
はい。
これが結構営業シーンで直面することが多いと思うのです。
上司「この案件、絶対に取れるんだろうな?」
お客さん「要件漏れでコスト膨らむこと無いですよね?」
皆さんも言われたこと、もしくは言ったこと無いでしょうか 。
これは悪魔の証明です。
絶対に案件が取れると言い切る覚悟も重要ですが、1%のリスクも無い案件なんて存在しません。
もちろん要件漏れも同じですよね。RFPを実施しようが、何回もFit&Gapを実施しようが、リスクがゼロになることは永遠に訪れません。
かと言って上司やお客さんに
「いやーそれは悪魔の証明だから無理っすよー」
と言うと炎上して着地しません。燃え上がります。
ここまでどストレートに言って良いのは首相だけです。やめましょう。
あくまで「あーこれは悪魔の証明だなぁ」と心の中にとどめておきましょう。
悪魔の証明の突破方法
まずは悪魔の証明かどうかの判断はできた命題があるとします。
それをどうやって突破するか。
それは「枚挙的帰納法」です。
「悪魔の証明だなー」と思ったら「枚挙的帰納法」です。
これも例を見てもらった方が分かりやすいと思います。
地上で太陽を観測し「一昨日も、昨日も、今日も、太陽は東の高い山の脇から上ってきた」と言うことが分かったとする。
ここから「太陽はいつも、東の高い山の脇から上る」と結論するのが枚挙的帰納法です。
「起きる出来事は全くデタラメに生起するわけではなく、何らかの秩序があり、同じような条件のもとでは、同じ現象がくりかえされるはずだ」という仮定です。
要は色んな過去の同じような事象やサンプルを当て、類推させるという手法です。
さて、先ほどの例で考えてみます。
お客さん「要件漏れでコスト膨らむこと無いですよね?」
この悪魔の証明に立ち向かうにはサンプルを連打します。
・バージョンアップ費用の範囲内で無償です
・オンライントレーニング費用も範囲内で無償です
・A社では計画通りのコストで稼働した
・B社でも計画通りのコストで稼働した
「よってお客さんも要件漏れでコスト膨らむこと無いですよ!」
と言い切るにはまだ早い問題が残されてます。
枚挙的帰納法の弱点とその克服法
「早すぎる一般化」というやつです。
これも例。
「ビールには水が入っている」「ウィスキーにも水が入っている」「ブランデーにも水が入っている」よって「水を飲むと酔っ払う」
文字通り、「早すぎる一般化」ですね。
先ほどの「要件漏れでコスト膨らむこと無いですよね?」のパターンでも、きっとお客さんにサンプルを連打したところで「とはいえコスト膨らむこと無いんですか?」と必ず言われてしまうと思います。
そう言わせないくらいサンプルを大量に連打すれば納得してくれるかもしれませんが、それは出す方も出される方も、途方もない労力がかかってしまいます。
そこで私は敢えて「こういったパターンはコスト別です」というのを提示します。
提示する例を、「無償です」「大丈夫です」とは真逆の「これは追加です」「これは例外です」というのも合わせて提示するのです。
・データ量が◯◯万件を突破したら追加費用発生
・サービスAではなく、サービスBを追加したら追加発生
・Aバージョンではできない、データ連携や自動化使うなら追加発生
境界線を敢えて見てもらうことで、「あぁここまでは無料で、ここからは有料なのね」と納得してもらうのです。
そして必ず、それぞれの費用感についても伝えるようにしてます。
ただ単に「追加費用です」だけだと「えーどのくらいなの?」と不安にさせるだけなので、少々面倒でも全てのコストを見積もって提示します。
それでも突破できない悪魔の証明
もちろんここまでやっても突破できない悪魔の証明は多いです。
そしてここまで書いておきながら今更言うなという感じですが、冒頭に例として出した上司からの「この案件、絶対に取れるんだろうな?」については上記のロジックでは突破できません。
多分、今までの枚挙的帰納法とか、それを補完する例外ケースを丁寧に提示したところで、逆に炎上しまくると思います。
言い方とかトーンはさておき、上司が「この案件、絶対に取れるんだろうな?」と言う場合、それはその上司は「取れねぇよ、そんな甘い、ヌルいやり方じゃ」と思ってるタイプです。
悪魔の証明ではなく、上司が悪魔なタイプです。
そういった上司には決してロジックで勝負せず、何とか仲良くなりましょう。
おわり。
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