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金もやる気もないが、俺達には味噌汁がある

一人暮らしでぜんぜん金が無く贅沢ができない、貯金が増えないと嘆く知人はコンビニで飯を買い、ウーバーイーツを利用している。俺は彼ほど愚かな人類を知らない。
金が無いのは俺も同じだ。自炊に手間もかけたくない。独りでつくり、独りで食べる。ならば腹が膨れて栄養が摂れるのであれば後のことはどうでもよい。味が良ければもう何も言うことはない。

そこで味噌汁である。なにを入れても美味くなり、涼しくなってくるこれからの季節にもピッタリだ。その上どうやら味噌は身体に良いらしい。
べらぼうに濃い味噌汁をつくると味噌汁で米が食える。主菜の顔をした味噌汁が俺を真っ直ぐな眼で見つめる。迷いのない両の眼。そう、味噌汁はメインのおかずになり得る。
米と味噌汁があればよい。俺は日本人なのだ。竹槍の代わりに味噌汁を掲げて進むわけだ。

さて、あなたは鍋を用意する必要さえない。
茶碗に直接味噌をぶち込み、出汁の素を好きなだけ振りかける。沸騰した湯を注げばそれだけでとりあえず味噌汁になる。
具が無くてもよい。農耕民族たるものモーニングコーヒーの代わりに具無しの味噌汁を飲め。陽の光を浴びて味噌汁を飲めば大抵のことはどうにかなるものだ。

具はその日の冷蔵庫の在庫によって変わるが、大体なにを入れてもよい。
参考までに俺は昨晩、納豆・焼き海苔・かつお節・きな粉をありったけぶち込み、たんぱく質の爆弾じみた味噌汁を飲んだ。バカの食い物である。
味噌汁にきな粉!?と思われるかもしれないが、俺も味噌汁にきな粉はどうだろうな…と思いながら食べている。量を間違えなければマイルドな味噌汁になって意外といける。ただし少しでも入れすぎると変な食感になってすべてを台無しにする。カレー粉を入れる日もある。アホかという量のラー油を入れる日もある。味噌汁は自由なのだ。

まあ、最初のうちは冒険する必要はない。乾燥わかめなど長期保存できて味噌汁にただ何も考えずぶち込めばよいだけの食材をある程度ストックしておけば毎日飽きずにいただける。小口切りのネギ、油揚げ、あとはベーコンなんかもぶち込んでしまえばよい。

気が向けば雪平鍋を用意して、丁寧な人間たちのやり方でしっかりとした味噌汁をつくってみてもよい。出汁を一から引くのもたまにならアリだ。自分は丁寧に暮らしている、という幻覚作用を十分に得られる。
そしてせっかく鍋でつくるならば致死量の野菜を摂取したい。大根、きゃべつ、ほうれん草…その日のスーパーで一番安かった野菜をドカドカとぶち込んでしまえばよい。野菜が安くて嬉しかったなら肉を入れたってよい。誰もあなたを責めたりしない。味噌汁は自由なのだ。

気が向かなければ最悪インスタントの味噌汁でもよいが、金が無い故に30食入りとかの大袋を買うと俺のように後悔することになる。あれは本当に飽きる。第一そんなに美味くもない。味噌汁をつくるのに慣れてくると自分の好きな味が分かってくる。好きな味を自分でつくれるのだし、俺はどうせならば毎日違う味の味噌汁にありつきたいので、インスタント味噌汁はあまり薦めたくない。

赤味噌と白味噌をローテーションしてみるのも良い。自分の好きな比率を探して合わせ味噌とかいうヤツを試すのも良い。どうせ独りで食うのだ。好きにすればよい。俺が味噌汁で米をかき込むことに誰が文句をつけるというのだ。俺が味噌汁に牛乳を入れてみることで誰が不幸になるというのだ。
あなたの味噌汁にも、誰も文句は言わない。好きにしろ!味噌汁は自由なのだ!

あと、毎日味噌汁を飲むと非常にお通じが良くなり、それもまた良い。

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