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阿房列車

ルールとは人がいてのルールであり、ルールがあっての人ではない。

と誰が最初に言ったのかわからないが、空港で談志が警備員に説教していた内容もそんな事だった気がする。

そして今回主題の内田百閒の場合、自分だけのルールに従い、なるべくそれに忠実に生きようとした人で、この阿房列車は家で1日中時刻表を眺めながら旅への想像を巡らせる所から始まり、そんな勝手な想像から決められたルールによって、旅のお供のヒマラヤ山系という男も巻き込み、

時々宿にも泊まるが、目的の駅まで行って帰るだけという、ほぼ列車内完結型物語で聞いてるだけだと何が面白いのか全くわからないが、、

要は列車の窓から移り変わる景色を肴に、魔法瓶に詰めた持参の熱燗をちびちびやったり、食堂車で麦酒を飲んだりするだけなのだが、これが百閒の手にかかると、自分の偏屈な考えと現実との距離を埋めるための格闘が見事に文面に表現されていて、めちゃくちゃ面白いのである。

勿論列車の話がメインなので鉄道、蒸気機関車、日本地理への造詣も深く、我々読者は口うるさいおじいちゃんから最上級のガイドを受ける事ができる。

この世知辛い世の中では通用しない事も多いが、なるべく自分に正直に生き、歳をとっていくヒントがたくさん詰った1冊だ。

自分も何の見返りもないのにこんな長々と文を書いたり音楽をやって恥ずかしい事かもしれないが、やってる間だけは少し救われるのである。正直に生きたい。

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