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小浜線に乗って若狭町『虹岳島荘』に宿泊してきた
ローカル線で行く、一人旅好きの秋野あき子です。
2023/12/3〜12/4にかけて、福井県の敦賀駅から小浜線に乗って、「日本秘湯を守る会」の会員宿『虹岳島(こがしま)荘』に宿泊してきました。
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「水月湖」に面して佇む
ローカル線を乗り継ぎ、今回は金沢から福井へと小旅行です。お隣の県なので何度も足は運んでいますが、虹岳島荘は福井県で唯一の秘湯を守る会の会員宿だそうで、これは一度は泊まっておかねば、と思った次第。
そして福井県の有名なローカル線といえば「小浜線」ですね!
過去に一度乗ったことがありますが、海沿いを走るこの電車の車窓からの景色は本当に素晴らしかったので、また乗りたいと思います。
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あえて速度を落として走ってくれる
ただ、今回は虹岳島荘へ宿泊するため途中の気山駅で降りるので、海沿いの景色はあまり堪能できません。敦賀駅から東舞鶴駅までしっかり乗ってこその小浜線。ですが、美浜駅付近では多少なりとも海が見えてくるはずなので期待したいですね。
さて、私はいつも旅には本を一冊携えて行きます。電車の待ち時間にスマホ見てると充電はすぐなくなるし、モバイルバッテリーも熱くなるし。ローカル線でも田舎であればあるほど、駅のホームの音と空気の中で読む本が好き。
で、今回のお供はこの本「刺青(しせい)・秘密』(著:谷崎潤一郎)」。
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どうですか、このオシャレでエロティックな装丁は。完全にジャケ買いです。本当は『痴人の愛』を読んでみたかったのですが、手に取ったら結構分厚くて、旅の道中で読み終えるボリュームではなかったので、量的にちょうど良さげなこの短篇集にしました。
谷崎潤一郎についてですが、完全に名前しか知りません、例のごとく。もし谷崎潤一郎を話題に出されても「ああ、あの文豪の…」としか返せません。恥ずかしながら代表作さえ存じ上げませんでした!
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過剰なほどの女性愛やマゾヒズム…ぞくぞくしますね。一体どんなエロチズムが蛇のごとく絡みついてくるのか楽しみです。繰り出せる精一杯の文豪っぽい文章でお茶を濁すわたくし。(本の感想は最後にまとめます)
金沢駅から福井駅までは各駅停車で1時間半ほど、福井駅から敦賀駅までは50分ほどです。ちょうどいいですね、疲れすぎず物足りなさすぎず。
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キミ、明らかに西洋人なのに「敦ちゃん」っていうのかいw
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さすが虹岳島荘に行くだけあって、虹によるお出迎えでしょうか。あいにくの曇天でしたが良い旅の出だしです。実はこの後、数回に渡って虹を見ることになります。なんだか不思議な力を感じてしまいますね。
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トルコ石のようなカラーリングで可愛い
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海の方は晴れ間が見えている
今回は遅いスタートで、宿への到着が4時過ぎ頃になるようにしました。小雨のち曇天の天気予報だったので、あまり天気には期待していなかったのですが、夕刻に近づくにつれ、海の方から晴れ間が見えて雲の腹をオレンジに染めている風景は夕焼けマニアとしてはグッとくるものがありました。そして再びまみえる虹のプリズム…雨の旅もいいもんだな。
天気の良い日の日没を狙って、この小浜線に乗れば素晴らしい夕焼けが堪能できそうですね。
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駅舎すらない無人駅
あっという間に気山駅に到着。到着予定時刻頃に、宿に送迎を依頼してありました。しばらくすると、黒塗りのクラウンが駅の駐車場に入ってきて、アウトレイジの西田敏行氏を彷彿させる、ヤのつきそうな風貌の運転手が助手席側の窓を開けました。
「秋野さん?」
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こんな風貌の人に黒塗りの車から声かけられたら誰でもビビる
こっわ…黒いスーツ着てるし。ビビりつつ「は、はい、秋野です」と答えると「虹岳島荘です、どうぞ」と言われました。マジか。後部座席に座り、本当に宿まで連れてってくれるのか、まさか血生臭い現場に連れて行かれるんじゃないかと内心ドキドキしつつ湖畔の道をドライブ。
「明日の朝は何時の電車?」唐突に聞かれ、天気次第で予定を変更するつもりだったので「ま、まだ決めてないんです」と答えると「そう」とだけ言って、ゴツい指輪をはめた手でハンドルをさばきます。この運転手さんは後に宿の社長だと判明し、翌日それはそれは素敵なドライブツアーに連れて行ってくれることになるのですが、この時はそんな未来が訪れるなんて露知らないわたくし。
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左手が受付、右手が食堂
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西田敏行似の運転手の衝撃がぶっ飛ぶほどの旅情ありすぎる雰囲気。帳簿に記入後、「どうぞ、今お茶を淹れますから」と食事会場の方へ通されました。
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宿特製だそうで酸味と甘味の宝石箱でした
曇天にも関わらずこの美しさ…!天気が良ければさぞ美しさも倍増することでしょう。水上コテージにいるような気分です。一服後、部屋まで案内してくれました。
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この『椿』の間に宿泊した
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田舎のばあちゃん家にこういうスロープがあったのを思い出した
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(右側)冷蔵庫、お茶セット、ユニットバス&トイレ
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奥には掘り炬燵がある
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タオル掛けもよく見たら虹色になっている
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この足袋、白い上にふくらはぎくらいまで長さがあって
ちょいとダサめ(足は冷えずに済む)
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いやぁ、なんと素晴らしい景観でしょう。水鳥達が揺らす水面の波形、時々降る雨の波紋、静寂に包まれた空間、目の前には紅葉した山山山…。間違いなく桃源郷です。もっとこの雰囲気を堪能したいところですが、日没の時間が迫っています。明るいうちに温泉も入っておきたいのでそそくさ浴場へ向かいます。
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小宴会場まであるのか、みんな宴会好きね
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争奪戦にならない??
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可愛いバスマット置きがち
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なんのためなのw
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薄っすらしじみの貝殻のにおいがする(※個人の感想です)
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湯に浸かってしまうと木と空だけしか見えない
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露天風呂にいるとボイラーが近いのか、昔、湯沸かし器のボイラーを使用していた友達の家で嗅いだ、夕方あたりに漂ってくるガスのにおいがかすかにしました。渡り廊下のスロープといい、謎に子供の頃の記憶を蘇らせるやん?と感傷に浸りつつ、湯にも浸かります。
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秘湯を守る会の公式ホームページによれば、湖畔から湧き出る鉱泉を利用した温泉で「単純弱放射能冷鉱泉」というそうです。源泉掛け流しとのことですが、あまりにも無色透明・ほぼ無味無臭すぎてそんなに天然温泉感は感じられませんでした。湯触りもただのお湯を撫でているようで、お肌にまったり纏わりつく感じでもなくサラッとしています。あっさり系の温泉だと思えばいいのかな。それでも静かな湖畔の森の陰で、生まれたままの姿を惜しげもなく晒す温泉はやはり良い。週末を避けたおかげかお客さんも少なく、一人でのんびり温泉を満喫できました。
夕食までまだ時間があるので、再び部屋に戻り本を読むことにします。
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ブラウン管テレビ!!!笑笑
平成・令和生まれの方は見たことあるんでしょうか。懐かしすぎて笑いが込み上げます。
試しに電源をつけてみると「ヴン…」と重々しい起動音が響き、黒いままでなかなか映らない画面に「あああ、こんなタイムラグあったわ」と謎の感激。画面の両端が切れ、バラエティの字幕が全部読めず、画質は荒い上に音は篭っているという始末。控えめに言って最高。チャンネルを変えてみると
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三色ケーブルを刺して、スーパーファミコンとかプレステとかしたなぁ…。今回の旅は、やたらと小学生時代を思い出させてくれます。
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謎の懐かしさをひとしきり堪能したあと、掘り炬燵に座り『刺青・秘密』を広げます。なるほど、たしかにまるで絵画・音楽を鑑賞しているような、芸術的な表現力に引き込まれていきます。
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「刺青」の次の「少年」いう話を読み進めた頃、ふと背表紙を何気なく眺めました。
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そして「少年」というお話の中にも、
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声に出して読みたすぎるやろ。
奇妙な𝑳𝒐𝒗𝒆 𝒂𝒅𝒗𝒆𝒏𝒕𝒖𝒓𝒆
まだ消えやらぬ𝒆𝒄𝒔𝒕𝒂𝒔𝒚
その後もちょいちょい英単語が出てきて、巻末の解説にちゃんと意味が書いてあるのがなんともw
ルー語の起源は谷崎潤一郎だったってコト!?
さて、そうこうしているうちに夕食の時間となりました。
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刺身が分厚くて美味しい、さすが福井県
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若狭牛か確認するの忘れました…
食事会場では、お客さんが全員湖の方を向いて座っています。感染対策でこうなっているのか、元々湖を楽しむためにこうなっているのかは定かではありませんが、他のお客さんと目が合わず気まずくならなくていいなと思いました。
席に着くと、西田敏行似の強面運転手が焼き物や鍋に火を着け練り歩いていました。
「どんどん食べてや、お残しは許さんで」
ニコニコと黒スーツでチャッカマン片手にうろつく姿はもやはチャカ持ったヤのつく人。やはり怖い。肉の焼き加減を確認したり、料理の説明をしたり、もしかして料理長なのかなと思っていたら、他の仲居さんから「社長」と呼ばれているので、そこで初めてこの方が虹岳島荘の社長さんなのだと判明しました。
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お鍋にもふぐが入っており、ふぐの唐揚げもあり、冬はふぐが旬とのこと。隣のご夫婦はふぐコースにしたのか、豪勢なふぐ料理が次々と運ばれていました。
食事を進めていると、突然背後から「にゃああん」と鳴き声が聞こえてきました。
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事前の情報収集で、この宿には猫がいることは知っていましたが、本当に会えるなんて嬉しい。猫ちゃんの名は「ぺーちゃん」。夕食時にこうして、お客さんに必ず挨拶に来てくれるのだそう!なんて教育の行き届いた…笑
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社長さんに、ぺーちゃんのことを教えてもらいました。
十数年前、空から猫が降ってきたそうです。トンビに咥えられた猫が傷だらけで宿の近くに落とされたとのこと。ちょうど宿泊に来ていた夫婦のお客さんが手当して一度連れて帰ったそうです。傷が癒え、元気になった猫を「この自然が豊かな環境にいさせてあげたい」と再び宿に連れてきて、虹岳島荘の一員になったとのことでした。
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食事会場では隣に一人旅で宿泊されている女性が座っており、このぺーちゃんの登場をきっかけにお互いの一人旅について語り合うことができました。ありがとう、ぺーちゃん。
食事は盛り沢山でお腹がはち切れそうだったのですが、お残ししたらあのチャッカマンが火を吹きそうだったので、しっかり完食。デザートだけ部屋に持って帰り、休憩してから食べることにしました。
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再び温泉に入り、部屋でデザートを食べ、お酒を飲んで、スマホをいじったり本を読んだり、日々の慌ただしさをすっかり忘れ優雅な時間を満喫しました。
旅は心地よい疲れがやってくるので、夜更かししたいという気分にならないところが大好きです。自分のためだけに今生きていると実感できるところも好き。
そうして旅の一日目は静かに夜を迎えました。
翌朝。
師走の朝は遅いですね、夜明けは6時45分頃でした。ぼんやり明るくなってから朝風呂に向かいます。天気は小雨。予報では曇りのち晴れでしたが、残念ながら外れのようです。
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この眼下に見えているトタン屋根ですが、ここにはなんと源泉を引き込んだプールがあり、夏は湖を見ながらプールが楽しめるそうで、近場にあるキャンプ場とともに家族連れが訪れるとのこと。来年は夏に子供連れで来ようかな〜。
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ちょっと景観が損なわれているのが残念ですが…
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(虹岳島荘「オッチャンブログ」公式ページより引用)
朝風呂を楽しんだら、次は朝食です。
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朝からイカの刺身が頂けるとは…ワサビ醤油ではなく生姜醤油で頂きましたが、甘くて美味しかったです。
お隣の一人旅で来た女性と、この日の過ごし方について語り合いました。女性はなんと連泊されるそうで、もう一日宿泊されるそう。毎回一人旅では連泊するとのこと。羨ましい!なのでこの日は静かな湖畔を散歩して、部屋でゆっくり読書して、のんびり過ごそうかなと言っていました。最高ですね。
私は天気が良ければ「レインボーライン」に行くつもりだったと伝えました。
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楽しそうじゃないですか??天気さえ良ければ最高に美しい景色が待っていそうです!11月末までならこの三方五湖をめぐる「ゴコイチバス」という周遊バスがあったそうなんですが、冬はバスはないそう。アクセスは車でしか行けないらしいのです。
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この日の予報では午後から晴れるとのことだったので、それに賭けてタクシーで行ってみようかなというような話をしていると、
社長さん「そんなとこタクシーなんかで行ったら平気で15000円取られるで!」
マジか…。さすがにそんな豪遊はできないと思い、天気もイマイチみたいだし諦めるかぁ…とこぼしていると、
社長さん「ここから三方五湖ぐるっと一周して車で1時間や。しゃあなし、乗せてってやるわ。ただしガソリン代くらいはもらいまっせ」
私「ええ!?いいんですか」
社長さん「あんた1人だけ乗せるかいな、隣のねえさんも一緒やで。俺は一対一は嫌いなんや」
隣の女性「ええっ!?」
かくして、強面社長さんと、連泊を楽しむ秘湯マニアで美声の女性(Aさん)と素敵な素敵なドライブの旅が始まったのです。
前回の山田旅館の旅といい、一人旅を初めてから旅先でこんな風に知らなかった人たちと旅のひととき楽しむ機会が増えました。一人でなかったら知らなかった世界です。あんまり人付き合いは得意じゃないのですが、人と関わるのって良いもんだなぁと感じます。
他の宿泊客の支払いが済んでから出発やで、と言われたのでしばらく館内をうろちょろしたり、もう一度温泉に入ったりして過ごしました。
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片一方しかつけないのは節電のため?
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売店らしい
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出発までまだ時間があるので、部屋でのんびりしていると突然外の方からアナウンスが響きました。
「只今より、遊覧船が参ります」
しばらくして部屋の目の前の湖を、遊覧船が横切って行きました。
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三方五湖にはいくつか遊覧船が周遊するコースがあるそうです。湖からこの宿の様子を眺めてみたいですね。
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素敵な宿でした
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社長さんとAさんとのドライブが始まりました。(もちろんわずかばかりですが心付けは致しました!)
「なんでお偉いさんでもなんでもないお前らを連れてったらなアカンのや(本当にこう言った)」
そうボヤきながらも、三方五湖の成り立ちと歴史、梅の名産地である由来、この地にまつわるあらゆることを、時々車のスピードを落としたり、停車したりしながらガイドしてくれる社長さん。ノリノリやん?
Aさんはそんな社長さんに上手にツッコミを入れたり合いの手を入れたりしてくれたおかげか、社長さんは終始ニッコニコでした。顔がちょい怖いだけで、中身はとても優しくて愛嬌のあるおじさんなのです。
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山を隔てて湖と海が眺められる不思議な地形
「ホレ、停めたで。写真撮らんかい」
ちょいちょい写真を撮るよう勧めてくるw
レインボーラインは道路の名前で、以前は有料道路だったそうです。今は無料で走行できますよ。レインボーの由来はやはり虹がたくさんかかるからだそう。前日は二度、虹を見ることができました。さてこの日は…。
「さっきまで曇りやったのに晴れてきたで。あんたらどんだけ日頃良い行いをしとるんや」
ボヤくだけじゃなく、ちゃんと良いことを言ってくれますね。好き。少し天気が良くなってきた、というだけで嬉しくなる、こんなささやかな幸せは日常では気づきもしません。旅だからこそ、景色は一層輝いて見える。
そうこうしている間に、いよいよケーブル乗り場へと到達しました。
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ケーブルカーってなんでこんなにワクワクするんでしょう…隣には1人乗りのリフトもあります。カップルが前後で座っていて、ケーブルカーに乗っていたマダムの集団が「まあカップルよ」「いいわねぇ」とニコニコ眺めていました。
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若狭湾と三方五湖が一緒に見えている
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あっという間に山頂に到着しました。平日の午前中でしたが、結構賑わっています。
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カバーか何か掛けておいたのだろうか
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どこを見ても湖か、海。雄大です。コーヒーや紅茶を飲みながらテラスでのんびりくつろぐ家族連れやカップルがたくさんいました。
Aさん「あ!虹!」
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薄ぼんやりと若狭湾に虹のアーチがかかっていました。
社長さん「あんたら、天気も良くなるわ、虹もかかるわで凄いなあ。歓迎されてるんやで」
さっきまで「お偉いさんでもないお前らを」とか言っていた人から出る発言とは思えぬ、素敵な台詞にほんわかする私とAさん。
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直立不動ww
このレインボーライン山頂公園は、恋人の聖地だそうで各所に縁結びを願うスポットがあります。
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男女が社を挟んで向かい合って立ち、結ばれることを祈りあう
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成長したな…徐倫
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メビウスの輪を作り、プッチ神父のC-Moonに立ち向かった
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私らどっちも既婚者なんですがww
こんな素敵なロケーションで愛を誓うなんて素敵♡その愛が永遠に続くのなら…ね。
瓦投げがありました!願いを書いて上から投げ捨てるやつです。
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「投げよっかな…」と近づこうとすると、社長さんにガッと肩を捕まれ「金使うなや」と止められましたwなんでや、そんな貧乏くさそうに見えたんかww
名残惜しげに、その他の観光客が瓦を投げているのを見ていると社長さんが「これで十分やろ」と言って、真っ二つに割れて捨てられていた瓦を私とAさんに渡しました。
Aさん「縁起わっる!!!ww」
私「むしろ願い永遠に叶わないんじゃ…」
とりあえず健康を祈願して投げました。この先も健康でいられるだろうか…。
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社長さん「ただのお湯やで」身も蓋もないw
「足湯かぁ…」と呟くと「入らんでいい」とピシャリ。誰も入るなんて言ってないのにwこの社長さん、福井県にお金を落とそうとする私をことごとく制してくるんですが、本当に福井の宿の社長なの?w
ただ、私が「こんなに素敵な観光地があるならもっとPRしてもいいのに。隣の県に住んでるのに全然知らなかった」と言うと、「有名にならん方がいい。ひっそりあるからいいんや、人が増えたら情緒がなくなる」と社長さんが答えます。なるほど、さすが秘湯を守る会の重役でもある方。人に踏み荒らされない方が美しいという秘めたる魅力を愛しておられるのですね…。
「そろそろ行くで」
再びケーブルカーに乗って山頂から下ります。怪しい天気ではありましたが、海と湖の360°パノラマビューは本当に美しかった。あまりお金を使わせてはくれませんでしたがw次は車で来て家族と一緒にのんびりしたいと思いました。カフェにも入りたいし、ちゃんと丸い瓦投げたいし、足湯にも入りたい。
「電車は何時や」「えっと。12時18分です」「今11時50分やで」「間に合いますか」「それをお前に聞いとる」
帰りは頭文字Dばりに飛ばす社長さん。レインボーラインはカーブが多いので、結構命の危機を感じました。半分に割れた瓦を投げる自分が蘇ります。山を降りてからは地元民しか知らないような田んぼ道を突っ切り、あっという間に美浜駅へと連れてってくれました。
「余裕で間に合ったで、気をつけて帰ってや」
社長さん、Aさん、本当にありがとう。楽しい旅の想い出ができました。Aさんはこの後もあの宿でのんびりされるのでしょう。午後からは晴れる予報。きっと湖に美しい夕焼けが反射することでしょう…!
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旅の終わりです。
虹、湖、猫、西田敏行、ecstasy、ボイラーの臭い、ブラウン管テレビ、メビウスの輪、頭文字D…思い出すとそんなワードでいっぱい。鄙びているとまではいかないけど、古くさくて、落ち着く。静かな湖畔の宿は、日々の疲れや鬱憤をきれいに忘れさせてくれました。
今回の旅はここまで。
また次は、どんな旅に出て、どんな本を読もうかな。
『刺青・秘密』感想まとめ
注釈がかなり多く、大袈裟でなく1ページに※が何個もついていていちいち巻末に行って意味を調べなければならないので、サクサクっとは読めませんでしたが、流れる文章の美しさ語感の気持ちよさが圧倒的でした。
文才がないのでお話ごとに箇条書きで…
刺青
・薬飲ませて眠らせている間に入れ墨彫るってとんでもねぇ犯罪だなやと思いきや、娘もノリノリ
・娘の足の爪の描写が好き
・娘さん、本当に15歳かえ…?
・彫り師のサディズムは官能的だった。ただの嗜虐趣味とは違う…
・苦悶に耐えて美しい芸術が身体に宿る時、人々は愉悦に浸る…彫る側も彫られた側も
少年
・お金持ちのお坊ちゃんの可愛らしいおままごとかとおもいきや、とんでもねぇ遊びだな泣
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