激渋の湯めぐりツアー②♨️庄川『湯谷温泉』〜金沢『深谷温泉元湯石屋』
鄙びた温泉好きの秋野あき子です。
2023/11/27に、富山県から石川県をまたぐ日帰りの湯めぐりツアーを敢行しました。
今回もまた車旅。
前回の激渋湯めぐりツアーでは、庄川『湯谷温泉』であまりのんびりできなかったので、リベンジをかねてまたまた行って参りました。せっかくなので、富山から金沢に帰りがてら、地元で歴史ある旅館『元湯石屋』で日帰り温泉を楽しもうと思います。
一温泉目 : 庄川『湯谷温泉』
まず向かったのは、富山県砺波市庄川にある『湯谷温泉旅館』です。
この湯谷温泉旅館は秘湯マニア大絶賛の湯ということで一部ファンの間では有名。なんといっても見た目のインパクトが凄く「廃墟の底に沈む温泉」「バズーカ砲」「衝撃風呂」「いろんな意味で怖い」など気になるワードがネット上で散見されます。前回の激渋湯めぐりツアーでは最後に訪れましたが、今回はリベンジなのでそれはもう真っ先に向かいます。
紅葉も終わりを迎える晩秋の晴れた平日を狙い、愛車を走らせます。どんだけ温泉一人占めを楽しみたいんや…。
相変わらず良い渋み出してます。
玄関をくぐると、誰の靴もなくスリッパが並べられていました。
ガラス越しの受付からラジオが漏れ聞こえてきます。おかみさんらしき女性がこっくりこっくり船を漕いでいました。平和だ…なんて平和な光景なんだ。
客の存在に気付いたおかみさんが顔をあげ「今誰もお客さんいませんよ、ごゆっくり」とにっこり微笑みました。
このロッカーって、コンクリの壁をくり抜いて板を張ったんでしょうか?とても収納上手な脱衣所だと思いました笑 狭い空間に一切の無駄がありません。荷物を置く、服を脱ぐ、風呂場に行く、その動線を実にシンプルに導いてくれます。
バズーカ砲の存在感たるや!
最初は誰もいないせいか、バズーカは水平にセットされており、定期的に泡の粒を水中で発射させるだけで静かでした。ところがバズーカを女風呂側に傾けるとこの勢い!そして轟音。
お湯の温度は体感38〜39度くらいでしょうか。ずっと浸かっていられます。密閉された空間なのでまとわりつく湿気が生ぬるく寒さは感じませんでした。ただ、コンクリートの建物なので、これからが本番の冬は寒くて長湯はできないかもしれませんね。
ほんのり漂う卵臭、とろっとまろやかな湯ざわり、そしてこの廃墟のようなロケーション。あまりにも非現実的すぎて本当に唯一無二の面白い温泉ですね。
30分ほど浸かって、漂って、バズーカ打って、楽しみました。身体もいい具合にほかほかしてきたので上がることにします。
最後にバズーカ君に挨拶を。
面白すぎました。
この廃墟のおどろおどろしさと、バズーカ君のアミューズメント要素がたまらなくマッチしています。
入湯料500円でこの満足感。ロケーションのインパクトはもちろんですが、泉質も素晴らしい。一度訪れたら病みつきになるのも納得です。
秘湯マニアお墨付きの庄川『湯谷温泉』、何度でも訪れたいです。
休憩 : 庄川水記念公園を散歩
湯谷温泉から車で5分程の距離に『庄川水記念公園』があります。
前回、湯谷温泉以外は何も下調べせず、この庄川水記念公園の前を通過したのですが、庄川沿いに遊歩道がありちょっとしたカフェや美術館もあり、なかなか楽しめそうなスポットに思えたので今回立ち寄ることにしました。
庄川渓遊覧船というのがあります。船でしか行けない温泉『大牧温泉』が有名で、大牧温泉コースとそこまでは行かない中間地点までの遊覧コースがあります。遊覧船も乗ってみたかったのですが、この後に控えている『元湯石屋』もじっくり楽しみたいので今回は散歩に留めておきました。
今年の紅葉は遅く始まり長く続いているようですね。もう11月末ですが、まだまだ紅葉が美しかったです。
遊歩道には赤い桟橋があったり、飛び石階段があったり、不思議なオブジェがあったりして飽きのこない楽しい散歩ができました。端から端まで歩いて往復して20〜30分程度でしょうか。わんちゃんの散歩をしたりジョギングしたり、ベンチでコーヒーを沸かして飲んだりと、地元の方々の憩いの場でもあるようです。
「庄川ウッドプラザ」では木製品の雑貨やお土産の販売や、軽食も楽しめます。ウッドプラザのすぐ近くに足湯があり、ソフトクリームを食べながら足湯を楽しむご夫婦の姿も見えました。欲張りさんめ笑
二温泉目 : 金沢『深谷温泉』
庄川水記念公園から石川県金沢市深谷町の深谷温泉『元湯石屋』へと向かいます。
石川県は能登の和倉温泉、加賀の山中・山代(やましろ)・片山津(かたやまづ)・粟津(あわづ)温泉、金沢の奥座敷・湯涌温泉などが有名ですが、この深谷温泉は地元民には言わずと知れた名湯です。江戸時代創業、加賀藩お墨付きの湯宿であり歴史深く格式高い旅館で、日帰り温泉の値段も1000円とお高め。なんとこの宿には能舞台があり、能の定期公演が開催されているのです。
あまりにも地元すぎてノーマークだったのですが、金沢の中心地からは少し離れ、富山県の県境にあり、メジャーな温泉スポットとは一線を画す温泉。日帰り温泉には過去2回ほど来たことがありますが、改めて馳せ参じようと思った次第。
館内は館主がコレクションしてきた美術品が至る所に展示されており美術館のようです。館内を巡るだけでも一見の価値ありです。温泉と美術館を兼ねていると思えば1000円でも安いかもしれませんね。
温泉は離れの方へと進んでたどり着きます。
ラッキーなことに、他の日帰り客が入浴を終えて帰っていくところで、ここでも温泉を独り占めして楽しむことができました。
湯加減の体感は40〜41度。長湯できるくらいの熱さです。なんといってもこの茶褐色のお湯がまったりこっくりしていて、許されるなら潜って全身で味わい尽くしたいくらいリッチな泉質です。
温泉に濁りや色味があるだけで、なんとなく身体に良い気がしませんか。もちろん、庄川の湯谷温泉のような無色透明な温泉も魅力的ですが。あちらは炭酸泉だったので、まったく異なった泉質を楽しめて実にリフレッシュできました。
風呂上がりに能楽堂を見学させてもらいました。
金沢市の中学生は、兼六園のすぐそばにある石川県立能楽堂へ能楽観覧に行く課外授業があります。中学生の時に見た能は、申し訳ないくらいさっぱりわからず、その後に見た狂言の方が子供ながらに面白かったという記憶があります。
いい大人になった今、能を見れば、もしかしてその魅力に気付けるのかもしれません…この舞台を見るだけでもなんだか高尚な気分になれました。年に一回の定期公演、見に行きたくなりました、近いし。
ちなみに館内にも新しめの能楽堂があります。
こちらは、館内の従業員の方に「どうぞ奥の方まで上がってご覧下さい」と言われましたが、恐れ多くて少し近づくのが精一杯でした。
この能舞台のそばの大広間は、普段は屏風で仕切られ宴会場として使われるらしいです。なんて贅沢なんでしょう。
従業員の方に「最近では外国の団体さんが、あえてこういう宿を探してやってくるんですよ」と教えて頂きました。世界中でザ・ジャポンを探し求めているんですね。
宿泊して日本の伝統芸能に触れる施設もなかなか珍しいと思います。
いちいち可愛い。
実に金沢らしい旅館ですね。伝統芸能、美術、そして温泉。宿泊すれば金沢の食も楽しめるのでしょう。
あまりにも地元すぎて、宿泊という手段は私の中にはありませんが、金沢のメジャーな観光スポットに行き飽きた人は、元湯石屋に宿泊してみてはいかがでしょうか。
今回は鄙びた温泉と鄙びていない温泉のツアーとなりました。どちらも甲乙つけがたい、魅力に溢れた温泉。泉質も施設も個性的でした。
秘湯感満載の温泉
①富山県砺波市 庄川温泉『湯谷温泉旅館』
金沢らしさ溢れる格式高い温泉
②石川県金沢市 深谷温泉『元湯石屋』
次はどんな温泉に行こうかな。