マイケル・ポーター氏のポジショニング戦略とV6(後半)

【四半世紀のアイドルファンが想うこと★V6★ vol.55】


長くなってしまったので、昨日の「前半」からの続きです。


前半では、マイケル・ポーター氏のポジショニング戦略の4つの条件(私なりの解釈は次の箇条書き)に、長く続いているV6を当てはめて、前半では1と2について考えてみた。

   1 狙いたいお客さんの規模が合っているか
   2 「俺達はこんなユニークなところにいるぞ」が
     お客さんにちゃんと伝わっているか
   3 お客さんに共感してもらっているか
   4 その会社のユニークさが、実際に出す商品と合っているか

引き続き3と4に沿って考えてみたい。


3のお客さんに共感してもらっているかは、岡田くんが次々と難しいアクションを含む映画に出演していることでも明らかだろう。
また、舞台は、ファンや舞台が好きな方以外はなかなか目にする機会はないかもしれないが、特に坂本くんや剛くんには、主演として舞台の仕事がコンスタントに来る。
お客さんが共感してくれているからこそ、仕事がやって来る。


4のその「会社」のユニークさが、実際に出す「商品」と合っているかは、「会社」をV6に、「商品」を番組、新曲やコンサートなどに置き換えれば考えやすい。
V6は色んな個性を持つメンバーが集まっており、その上お互いメンバー思いで仲がよい。コンサートでは、この仲のよい個性派集団が全員で演出を考えて決める。
コンサート会場は1万5000人規模のアリーナクラスが多い。そこで2階の遠い席のお客さんにも喜んでもらおうと、個性派集団は、V6専用の2階の通路、通称「Vロード」なるものを設けた。アリーナ備え付けの通路だと回りにくいので、わざわざコンサートの度にVロードを作る。本番ではメンバーがアリーナ2階席までの高い階段を登り(広い会場なのでかなり高い)、近づいた2階席のお客さんに目一杯笑顔で手を振ってVロードを通り抜ける。
個性派集団というV6のユニークさは、工夫したコンサートという商品と合っている。


こうやってポジショニング戦略理論の4つの条件に沿って考えると、V6が個性派集団という独自のポジションを取っているんだなって考えられる。



個性派集団のV6も、デビュー当時は、アクションも、手話もやってなかった。私はデビュー翌年から見ているが、彼らは、デビューからの時間を無駄にはせず、いい出会いもありながら、コツコツとそれぞれの道を探求してきた。
特にアイドルだから、泥臭い過程は見せてくれない。テレビなどに出てくる姿はもちろん颯爽(さっそう)としているため、こちらにはわかりにくいが、どれもこれも一朝一夕に身につくものではない。

こうやってnoteを書いていて、改めてアイドルって難しい仕事だと思う。世の中にはたくさんのアイドルがデビューしているし、V6は同じ事務所内にたくさんのアイドルグループが所属する。顔やルックスだけで勝負していたら、V6はここまでやり続けることはできなかっただろう。個性派集団というポジションを取り、ファンもそのポジション好きよ、となっているのだろう。


最後に、書きながら想ったのは、経営理論と実際の違いだ。
経営理論は、これからこうやりましょうという未来への戦略の話だ。
ただ、V6は戦略的にポジションを取ってきたというよりは、それぞれが色んな想いを抱いて、それぞれの好きな道をコツコツと探求し続けてきた。アイドルで事務所に守られてるということに安住しなかった。
その結果、気づけば個性派集団となって、独自のポジションを占めていたということだろう。

理論と実際が違うことも、一つの社会への理解となって、それもまた興味深い。


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