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研修医の心構え5カ条〜私がいまだに守り続けている心構え〜

医学部を卒業し、医師国家試験に合格したら、次に待っているのが臨床研修です。診療に携わる医師になるためには必ず受けなければならないと法律で定められている2年間の研修であり、基本的な診療能力を身につけるだけるだけでなく、医師としての人格を養い、社会的役割を認識するための期間です(厚生労働省「医師臨床研修指導ガイドライン-2020 年度版-」を参照)。臨床研修が終わると、3年以上の専門医を目指した研修が待っています。

私自身、研修医だった6年間に学んだことが今の自分の方向性を決めたとも思いますし、研修医時代の過ごし方がその後を大きく左右すると思っています。

私が思う研修医の心構えを5カ条にまとめてみました。研修医の…といいつつ、実際には私が今も日々心がけていることばかりです。研修医の皆さん、医学部生の皆さん、また、医師として活躍を始めた皆さんの参考になれば嬉しいです。


1. 毎日患者さんに会いに行く

研修医として臨床の現場に入ると、毎日多くの患者さんに関わることになります。外来では診察を受けた患者さんは診察後に帰宅してしまいますが、入院患者さんは当然ながら病棟に留まります。

自分が救急で関わった、手術で関わったなど、接点のあった患者さんには、毎日会いに行ってください。診察時、手術時とはちがう姿を見て経過を自分の目で学ばせていただくとともに、医師の顔を見て安心される患者さん、診察の場では話せなかったことを話してくださる患者さんもいらっしゃいます。

もちろんそれが患者さんの負担になってはいけませんが、タイミングを見て毎日患者さんに会いに行くようにしてください。

2. 手技を自分のものにする

患者さんのバイタルを取る、全身状態を見極める、点滴を取る、カテーテルを入れる…研修医になると実際の患者さんを相手にさまざまな手技を実践することになります。

自分にとっては初めてだったとしても、患者さんにとってはその1回、1手技がすべてです。失敗しても次成功すればよいか、という考えはありえません。

どの手技も、やるからには必ず成功させる。

その意識を常に持ってすべての手技にあたってください。

さらに、指導医や先輩の手技は見逃さないこと。次その手技を自分が実施するとしたら、という観点で見て、先輩方の技はくまなく盗むつもりであらゆる現場に向かってください。

3. 自分に部下はいない

病院での勤務を始めると、当然ながら自分以外の多くの職種・年齢の人たちと働くことになります。先輩や後輩の医師、看護師、准看護師、薬剤師、救命救急士、理学療法士、作業療法士といった医療従事者だけでなく、管理栄養士、医療事務の担当者などさまざまです。

しかし、“医師”という立場になると大きな勘違いをする人がいます。他の職種の人を下に見る人がいる。後輩含めみんな自分の部下だと考える。

それは大間違いです。

医師はもちろん、看護師さんを始めとするスタッフはみんな同僚です。後輩も目下ではなく同僚。さらにいえば、先輩も同僚です。周りの人全員に敬意と礼儀をもって接しなければなりません。

下に見られて嬉しい人はいないでしょう。医師の後輩であっても他の職種の人に対しても、自分がやられて嫌なことはしてはならない。人間として当たり前のことですが、医師の立場になると勘違いをする人があまりに多いので、ここはあえて心構え5カ条に入れました。

4. 現状に満足しない

病院で働くスタッフにはとにかく女性が多いです。(少なくとも最初のうちは事実として)男性の医師はモテる。モテるんです。さらに、医師として勤務を始めると収入を手にできるようになる。

すると、“天狗”になってしまう人が出てきます。

しかも、臨床現場で経験するのは初めてのことばかりなので、逆にいうと初期研修の2年間で医師としていろんなことができるようになります。自らの成長を感じられ、万能感を持ってしまうことも少なくありません。

最初の2年間、環境が変わり、できるようになることが増えるのは当然です。研修に来ているのですから。現状に満足せず(勘違いもせず)、とにかく努力し続けること。この姿勢を研修期間中に身に着けることが、その後の医師としての人生を大きく左右します。

5. 約束したことは確実にやる

大学で6年学び、医師国家試験に無事合格したとしても、臨床の現場に入った当初は当然ながら何もできない状態です。

だとしたらできることは、言われたことはなるべく早く確実に実施する。指導医はじめ、周りの人に指示されたこと、頼まれたことを一つ一つ確実に行っていくことです。

時間を置くと、「やらなければいけない」ことすら忘れてしまいます。できることなら言われたその場でやってしまうくらいの姿勢が大切です。


以上が、研修医の皆さんにお伝えしたい5カ条です。これは日々の心構えですが、さらにもう一つ、医師として絶対に欠かせないと思っていることがあります。それは「プレゼンテーション」です。

プレゼンテーションについては、以下の記事にまとめましたので、ぜひ参考にしていただければ嬉しいです。



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藤原廉(ふじわら れん)・Ren Fujiwara / 脳神経外科医・Neurosurgeon
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