【小説】【漫画】最近読んだアレやコレ(2020.5.27)
人類をなめくさった地球が暑くなったり寒くなったりする昨今、いかがお過ごしでしょうか。私は、冷蔵庫がぶっ壊れて中のものが腐り果てるという悲しいイベントがありました。あとは……特にないですね……。普通に仕事が忙しかったので、特に書くことが何もないですね。許すまじき虚無だ。忍殺とジャンプだけが己を人間として規定してくれている。今後はここに書くことがないときはジャンプの感想を書こうと思います。チェンソーマンの「ハロウィン」ってあれ、「42」だよね。さようなら、いままで魚をありがとう!
ボボボーボ・ボーボボ(12~21巻)/澤井啓夫
何となく旧毛狩隊編が読み直したくなったので、数年ぶりに再読したら、そのままずるずる最後まで読んでしまったボボボーボ・ボーボボ。基本ギャグ漫画なんですけど、バトル漫画としても普通に楽しい。アルファベット数26人分の悪役をちゃんと全員活躍させてるのも凄い。なんでBLEACHができてなかったことを、ギャグ漫画がやり遂げているのか。しかし、ボーボボ、「悪の幹部集合!」のワクワク感をやらせたら、普通に歴代ジャンプの中でも上位なんじゃないでしょうか。旧毛狩隊と発毛獅志十六区そろい踏みのシーンが特によかったですね~(ところで昔から思ってたんですが、発毛獅志十六区ってネーミングめちゃくちゃかっこよくないですか?)。ただ、この巻帯はギャグとしてはそこまでというか……展開やギャグの流れが型にはまっていない前半巻がおもしろすぎるというか……。(後半に続く)
エンデンジャード・トリック/門前典之
推理小説。直方体状の館「キューブハウス」で、時を超えて発生する連続殺人! 門前ファンとしては待ちに待った新刊であり、うっはうっはしながら読んだものの、私が門前作品に求める物理的な人間冒涜(前に記事にしたよ)はやや少なめで、表に大きく出ているのはタイトルにある「絶滅危惧種のトリック」という題材の方。とはいえ、建設畑の視点から「館」を実在性のある「建築物」として解体してしまう手つき、登場人物を徹底して駒として取り扱う幾何学的で機械的なギミック、そして悪い冗談としか言いようのないぶっ飛んだ動機と、門前ミステリの他の魅力は平均以上にてんこ盛りな逸品です。倫理観と一緒に、世界を秩序だてている支柱も一緒にとっぱらってしまうようなヤケクソ味、「異様」としか言いようのないこの光景は、門前典之の作品でしか見れないものでした。あと、前から思ってましたけど、シリーズ探偵・蜘蛛手の性格の悪さはこの業界でもなかなか上位だと思う。性格の悪い名探偵が好きな人は是非どうぞ。
人類最強のsweetheart/西尾維新
物理的にも内容的にも薄くなり、わずかな残雪が溶けるようにしてシリーズが消えてなくなる最終巻。しかし、それは『人類最強の請負人』というキャラクターを題材にとった以上、避け得ぬ必然だったと思います。本作のフォーマットは、名探偵という枠から大きくはみ出た主人公が、推理小説・人間世界の外側にある未知と遭遇するというものでした。当然そこは、推理小説とはケタ外れの難易度の世界であり……しかし、名探偵以上である主人公はそれすらも繰り返せば学習できるということ。未知を既知を変えぬままに、「未知」という概念自体に飽きるほどに慣れ親しんでしまうということ。高かったはずの難易度は、ゆえに意味あったはずのお話は、当然、より、安易に、簡便になってゆく。縮小再生産の果てに主人公が出した結論は、まるで失恋した子供が、実家に帰ってほっとしているようで愛らしい。完結巻のくせに、巻末に次巻予告があるのにはずっこけましたが、「このテーマはこれでおしまい」ということでしょう。
ボボボーボ・ボーボボ(1~11巻)/澤井啓夫
ギエエエ!おもしろい!めちゃくちゃおもしろい!信じられない!先に「前半巻がおもしろすぎた」と書きましたが、まさにその通り、おもしろすぎる。「脈絡もないもの」、しかし、恐怖ではなく笑いに留まるレベルには「脈絡のあるもの」。その両天秤を、限界ギリギリにまで前半に傾けた、発想の飛躍の宝庫、宝庫、宝庫。連続性から逸脱するということ。それは、思考の果てに辿り着く自然に反した知の力、ぼんやりしているだけでは(自然のままにいるだけでは)絶対に思いつくことのないジャンプです。本作は、その一つだけでミステリやSFを一作は書けるであろう飛躍が、何の誇張もなく全コマ全ページにみっしり詰め込まれている。何たる贅沢。澤井先生、漫画にコストをかけすぎている。筒井康隆の小説にも似た、極めつけにリッチな漫画体験であることよ……。しかし、この漫画やたら遊園地が出てきますね。三回も出てくる(Aブロック基地、ハレルヤランド、ネオ毛狩りランドMAX)。