![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/173270496/rectangle_large_type_2_b94242543fb07ecf8060f6632db5be2d.jpg?width=1200)
隣人
しばらくは我慢をしていたけれど、いい加減まぶたをチクチクつつく光に文句を言ってやろうと、あらかじめ逸らした視線をカーテンの裾へと下ろした。
「※%♪☆_$」
聞き慣れない音が、スルリとどこかからから流れ出た。
「※%♪☆_$」
もう一度光に向かって言った。
それは間違いなく私の口から流れ出ていた。
「#〆%*〒〜」
今度は背後から聞き取れない音が、勢いよく飛んできた。
いったい何が起こったのか、私はこっそりとつぶやいた。聞き取れない音がまた流れていった。
「○♪♡#@◎?」
やさしい口調で、誰かがそっと背中をさすった。
「大丈夫です」
と、いう気持ちを込めて、口から音を発した。
何を言っているのかはわからないけれど、その音のやわらかさをたよりに、なんとか自分なりに理解をした。
自分以外の誰かと完璧に分かり合えるなんてことはできない。でも、どこで、どんな風に生まれ落ちても感じ合うことはできるのかもしれない。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/173270664/picture_pc_30ab1302663405d08326fb30430ae449.png?width=1200)