トッケン
結婚をする前にお互いの親を交えて食事をした時のこと。
「この子にはいっつもさみしい思いばかりさせちゃってね」
と私の母が言うと、
「うちもそうだよ。下の子が入退院を繰り返してたからかかりっきりでね…」
と相手の母親が言った。
母は元夫、つまり私たちきょうだいの父親から養育費をもらうこともなく3人の子供を育てるために朝から晩まで仕事をしていた。子供が夏休みだからとか冬休みだからとかそんなことは当然関係もなく、毎日のように。
相手の母親は専業主婦ではあったけれど、持病のある次男の世話で忙しかった。
ふと、そんな昔のことを思い出していた。
私の記憶にある母は仕事をし、食事を作り、掃除をし、と常に動いていた。
夕食の後片付けをし、素早く入浴を済ませてやっと座り、テレビで大好きな刑事コロンボなんかを見始める。そしていつも半分も見ないうちにうつらうつらと寝落ちしそうになる。
そんな毎日なので3人きょうだいの末っ子の私は特に母とゆっくりすごしたり話をしたこともなかった。それを母も気にかけていたのだなと、結婚前に初めて知った。
そんな母の、私がうれしかった言動がある。
1つは幼い頃に一緒に歩いていて私のいる方側に蛇が現れた時、母は悲鳴をあげながらも素早く場所を入れ替わり、私を蛇から遠ざけた。「あぁ、私に何かあったらお母さんは守ってくれるんだ」と愛を実感した。
そしてもう1つは、ある日、母がレーズン入りの蒸しパンを作った。それを見た私が
「レーズン嫌い。さつまいもを入れたのがいい」
と言うと、
「別にあんたのために作ったんじゃない。私が食べたくて作ったんだもん。私はレーズンが好きだから」
と、母から予想外のこたえが返ってきて私は一瞬固まった。「普通おやつってお母さんが子供のために作るんじゃないの?え?自分が食べたくていつも作っていたの?」と。
けれど、母子家庭だからと母に全てを子供のためだけに生きられることはちょっと重荷に感じでいたところがあったのでその言葉にふっと心が軽くなった。
考えてみれば母の作るごはんにはグラタンだのスパゲッティだののような子供に媚びたところが全くなかった。テーブルに並べられた地味な煮物を見て
「食べるものがない」
と不貞腐れて言うと
「文句を言うなら食べなくて結構」
と、ピシャリと言われた。
食べたいものを作る。
そう、これは作るひとの特権だ。
パンにぬるために買ってきたロータスビスケットスプレッドをかぼちゃサラダに入れたら美味しかった!
私は、ですけどね。
【ちょい甘酸っぱのかぼちゃサラダ】
=材料=
かぼちゃ
マヨネーズ
ヨーグルト
ロータスビスケットスプレッド/クランチ
ブラックペッパー
=作り方=
1.かぼちゃを1センチ厚くらいのイチョウ切りにして電子レンジで加熱する。
2.マヨネーズ:ヨーグルト:ロータスビスケットスプレッドを3:1:1で合わせ、ブラックペッパーをふって混ぜる。
かぼちゃが冷めたら2で和えてできあがりです。
酸味が苦手な人はヨーグルトの分量を減らしても甘くておいしいです。
パンにも良く合うのでトーストやサンドイッチの具としてもおすすめです。