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呼吸

幼い時から、身体を動かして外でしか遊ばないような子だった。

小学生以降は体育の授業が大好きだったけれど、持久走だけがどうしても苦手だった。
走っていると必死に呼吸をしても酸素が足りない感じになってきて身体が思うように動かなくなってきてしまう。
小学生の時にはソフトボール投げで市内の小学生女子の1位になり、人生で最初で最後の表彰台の真ん中に立てたけれど、中学だったか高校だったかの校内のマラソン大会では後ろから5人くらい数えたら必ずその中に入っているくらいに本当に苦手だった。
30代になった頃、スノーボードで山を滑り降りるのに急激に脚の疲れを感じるようになり、雪のない季節のトレーニングにとジムに通った。
レッグプレス、レッグカール、そして最も苦手意識のあったランニングをするトレッドミル。
最初はインストラクターが一緒についてくれて体力や目的に合わせてメニューを組んでくれた。
学生時代は5分以上かかって1000メートル走るのがやっとだったのでトレッドミルは5分をセットして自分のペースで走った。
誰とも競わず、ただ自分の呼吸に合わせて走ってみると、5分経ってもまだ体力に余裕があった。
あら?まだいけるなと徐々に時間を延ばしていった。
あんなに苦手で大嫌いだった走ることが寧ろ心地よく感じてきてとても不思議な気分だった。
それに気を良くした私はその後、毎朝6時に起きて1時間弱のジョギングをしていた。
学生時代には最も苦手だったはずの走ることを、その私がなんと自主的に!
きっと走ることが嫌いだった訳ではなく、自分の呼吸とは違うペースでは走れなかったということなんだろう。


買ったものの使いきれずにいたオールスパイスを深煎りのコーヒーに振り、ミルクを入れて飲んだらおいしかった。
また好きが、ひとつ増えた。

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