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でも、さ…

「それってさ、ただの自己満足じゃない?」

「え?自己満足以上に自分をしあわせにできるものってある?…ユミはさ、偉いよ。いつも他人のために動いているんだよね。偉いよ、本当に」
「別に偉くはないけれど…」
「私はさ、誰かのためだけに生きている人を見るのがつらいんだよね。昔うちの母がさ、時々思い付いたように蒸しパンを作っていたの。私はさつまいも入りのが良かったのに、母が作るのはだいたい私の嫌いなレーズン入りのだった。だからある日言ったの。レーズンは嫌い。さつまいも入りのがいいって。そしたらさ…」
「そしたら?」
「別にあんたのために作ってない。私が食べたかったから作っただけ!って。
母親が作るおやつは私たち子供のためだって思っていたから、私、思わず鳩が豆鉄砲を食ったような顔になったわ。でもさ、子供のためじゃなく、自分のためにっていう母の言葉にほっとした。 肩の荷が降りたっていうか…。あ、どうでもいいか、うちの母の話なんて…でもさ…」

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