創作おとぎ話 うさかめサイコロジー パーティ篇 <連続3日掲載:前篇>
心理学のエッセンスをちょっと交えた『ウサギとカメ』のお話、続編です。
前回の山登りイベントによって、お互いの違いとその面白さに気づいたふたり。
仲が良くなるか・・・と思いきや、特にふたりの関係が接近するわけでもなく、かといって以前のようにウサギがカメをバカにするということもなく、それぞれがそれぞれの世界で極々普通な毎日を過ごしていました。
ドラマチックな展開はそうそうあるものではありませんよね。
でも、変化がまったくないかというとそうでもありません。
ある日のこと、ウサギは自分の誕生日パーティについて考えていました。
ウサギ界では、自分の誕生日に友達を大勢呼んで楽しく過ごすのが習わしとなっていました。
「そうだ、今年はあのカメさんも呼ぼう!何か自分の知らない面白い話を聞かせてくれるかもしれない。そうだ、そうしよう」
ウサギは速達で招待状を送りました。
とにかく何でも早くやることが大好きなもので。
さてさて、ウサギの招待状を受け取ったカメ。
うれしいような、苦しいような、追い詰められたような、なにやら複雑な気持ちが湧き上がってきて、甲羅の中をモヤモヤした気持ちがグルグルと渦巻いています。
「あーどうしよう。どうしたらいいんだ・・・」
【ワンポイント心理学】
内向型の性格のカメは大勢の人と交流する場が苦手。内向型は普段から刺激による覚醒レベルが高いので刺激は少量で充分。過剰な刺激は負担になるので基本的には刺激を避けるように行動する。そうしないと自分が消耗してしまうから。これは遺伝子的な気質によるところでもあるので、いい/悪い、克服する/しないではなく、人にはそれぞれ特性の違いがあることをみんなが知識として知っておくと相互理解が深まりますよね。
一方、ウサギはというと、友達を呼んでわいわいパーティの企画会議。
「キリンさんたちにポールになってもらって、超高い輪投げ大会はどうかな?」
「シマウマさんの縦縞に横棒を加えて、あみだくじというのはどう?」
「アルマジロさんがボールで、ミーアキャットさんがピンで整列してのボーリング大会は?」
いろいろなアイデアが飛び交って、会議は大盛り上がりです。
【ワンポイント心理学】
外向型の性格のウサギは大勢の人と活発に交流するのが好き。それは外向型が元来ドーパミン感受性が低く自分を活性化するのに大量の刺激を求めるから。刺激によるドーパミンの生成が快感を生み、その快感を求めて活動がどんどん活発化していく。自分の外に刺激を求めるので、外向型は長く一人でいることを好まない。こういった特性もみんなが知っておくと相互理解に役に立つ。
そのころカメはというと・・・。
「あー、どうしたらいいんだ」
まだ、悩んでいるようです。
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