創作おとぎ話 うさかめサイコロジー かぐや篇<連続3日掲載:中篇>
(前回までのお話) 動物村の西の山すそ方面に強く明るい閃光を見たパンダウサギのおじいさんが現場に行くと、そこには白く光る竹が・・・。中から出てきたのはかわいい白ウサギの赤ちゃん。ふたりがふもとの家に帰ったころ、遅れて山にやってきたカメのおじいさんもあの竹の根元で、大きくて石のように物静かなカメの赤ちゃんと出会いました。
あれから月日は流れ、それぞれのおじいさんの家で大切に育てられた赤ちゃんはすくすくと大きくなり、未来を夢見るヤングなウサギとカメになっていました。
明るく活発に育った白ウサギは、月を眺めるのが大好きでした。
それは小さい頃に、パンダウサギのおじいさんに「月にはウサギがいて餅をついているんじゃよ」と聞かされていたからかもしれません。
「月に行ってみたいな。なんだか行けるような気がする。きっと行けるはず」
白ウサギは、来る日も来る日も月に行くことを夢見ていましたが、実現するには数々の困難がありました。
「ひとりで悩んでいても仕方ない。おじいさんに相談してみよう!」
【ワンポイント心理学】
プライミング効果。頭の中であれこれと考えていることは、無意識のうちに行動に影響を与える。小さい頃から月を興味をもって眺めていたという先行刺激が、実際に月に行こうという行動を引き起こすことに影響したと考えられる。
外向型で友達づき合いの広いウサギ一族の一員でもあるパンダウサギのおじいさんは
「よし、それなら難しいことに喜んでチャレンジしてくれる仲間に声をかけよう」
と言って、世界に情報発信しました。
USA(ウサ) 宇宙船開発者募集!
全世界からものすごい数の応募がありましたが、白ウサギの出す難しい課題に応えられるものはなかなかいません。
しかし、世の中にはいろいろな人がいるものです。
様々な知恵が掛け合わされて、ついに宇宙船は完成しました。
月面へと旅する宇宙船の名前は「かぐや」と名付けられました。
白ウサギは大喜び!
その興奮が更なるアイデアをもたらしました。
「そうだ!月までの旅を競争にしよう!その方が面白い!盛り上がるぞー、ワクワクする」
さすが外向型で刺激を好むウサギ一族です。
【ワンポイント心理学】
外向型/内向型は刺激に対する反応の違い。外向型は、自分を活性化するために刺激的な環境を好む。一方、内向型は普段から刺激に対する活性度が高いため、ちょっとの刺激でも疲弊しやすく、極力刺激を避けようとする傾向がある。(関連:うさかめ第1話)
「月まで競争とは面白い!だったら、カメじいさんに声をかけてみよう。カメさんとは、代々勝負をしてきた間柄なんじゃ。家も隣じゃし」
パンダウサギおじいさんは、言うが早いか隣のカメの家に行きました。
「もしもし、カメよ、カメさんよー」
(明日につづく)
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