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創作おとぎ話 うさかめサイコロジー 運動会篇<連続3日掲載:前篇>

心理学のエッセンスをちょっと交えた『ウサギとカメ』のお話第3弾です。

前回のウサギの誕生日パーティでは、カメは結局最後まで残って楽しい一日を過ごしたそうです。なんでも、パーティで出会ったツルと、お互いの先祖が長生きだった話で盛り上がったのだとか。少人数で深い話をするのが好きな内向型のカメにとってはいい友達が見つかったようです。よかったですね。めでたし、めでたし。おしまい・・・・というのは前回までのお話。


あれから平々凡々とした日々が流れ、季節は秋となりました。
動物村では恒例の運動会が開かれます。

その名も『オウリンピック』。
各種目の1位には、リンゴの王様「王林」が贈られることからその名がつきました。

運動が大好きで得意なウサギは、『オウリンピック』が待ち遠しくてなりません。それは、個人的にということではなく、ウサギ一族みんなが『オウリンピック』をこよなく愛していました。

その愛はどのくらいかというと、『オウリンピック』のためにウサギ一族でスタジアムを作ってしまおうというぐらい熱烈なものでした。
3年前から着手したそのスタジアムがまさに今年の秋、完成します。

ところが・・・。

ウサギ一族の愛があふれるあまり設備をどんどん豪華にしたくなって、気がつけば予算を大幅にオーバーしていたのです。

運動会は、30日後。
どうなるのでしょうか?

ウサギ一族は緊急会議を開きました。
そして結論は・・・。

「計画通りやるしかない」

一族みんな黙ってうなずく中で、誰かがポツリと言いました。

「コンコルド効果・・・」

【ワンポイント心理学】
これまで時間やお金、労力を費やしてきた物事が、このまま続けても期待する成果を得られない、損失がでてしまうとわかっても、これまでの投資が惜しまれプロジェクトを止められなくなってしまう心理を「コンコルド効果」という。超音速旅客機コンコルドの開発プロジェクトが同様の状態であったことからそう呼ばれている。


工事は急ピッチで進みました。
何とか30日後に間に合わせないといけません。
お金がないので、入場門と退場門は使用済み段ボールで手作りしました。
観客席の一部は椅子が用意できないので、書き割り(観客の絵を描いたパネル)で済ませることにしました。

そして、ついに。
運動会の朝がやってきました。


(明日につづく)


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