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創作おとぎ話 うさかめサイコロジー え~と干支篇<連続3日掲載:前篇>

心理学のエッセンスをちょっと交えた『ウサギとカメ』のお話第6弾です。


昔むかしの大昔、まだ人間が生まれていない頃のお話。あるところに、神様とたくさんの動物たちが暮らしておりました。いかにも平和でのんびりとした世の中にみえるのですが、実は神様だけがひとり悩んでいました。それは、動物たちが神社に参拝さんぱいにきてくれないこと・・・。
 
 
神様:
いや~、わしは神様なんじゃけど、だ~れもおがみにきたりせん。これじゃあ、自称じしょう“神様”みたいで、なんか自分でも神様でいいのか自信がなくなってきた。あ~神様、何とかなりませんか?・・・と言っても、わしが神様じゃから、結局、自問自答じもんじとうになるわけよね。仕方ない、自分で考えるしかないか・・・え~と、え~と。
 
そうじゃ!神社の参拝をゴールにした大レースを開こう!
 
でも、何かメリットがないとみんな参加しないじゃろなぁ。ご利益りやくじゃぁ、なんかふわっとしているし・・・・。やっぱり、賞金みたいなもんがええんかのう・・・。
 

そうじゃ!レースに勝ったもんをその年のリーダーに任命しよう!
 
ん~、毎年同じもんが勝っても困るから、1位から12位までを決めて、1年ごとに交代でリーダーをつとめるようにしてみたらどうじゃろう。12年でひと回り。12わくしかないから、これは盛り上がるに違いない。我ながらいいアイデアじゃ。
 
 
【ワンポイント心理学】
「数量限定」や「期間限定」という言葉に弱いという人は多いのではないでしょうか。このとき働いている心理を「希少性の原理」と言います。数が少ないものは特別なものだと考えたり、手に入れたくても簡単に手に入らないという自由が奪われた感覚のせいで、一層そのものが欲しくなります。

 

そうそう、レースには名前が必要じゃな。
え~と、え~と・・・干支えと
よし、『干支決定戦』じゃ!
 
どれ、門前にり紙を出すとしようかの。
 
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『干支決定戦』を開催します!
 
この度、神社では動物のみなさんにご参加いただく徒競走ときょうそう『干支決定戦』を企画いたしました。ふるってご参加ください。
 
日時:元日がんじつ
場所:スタートは自分が住んでいるところ / ゴールは神社の拝殿はいでん
ルール:日の出とともに開門します。最初に参拝した方を1着とします。

褒賞ほうしょう:1位~12位までの方に「1年間その年のリーダーを務めていただく権利」を付与ふよします。リーダーは12年ひと回りのメンバー固定制です。
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おっ、早速、動物たちがあちらこちらから集まり出して、貼り紙を見ておる。
元日が楽しみじゃ、ふぉ、ふぉ、ふぉ。
 
 

大晦日おおみそかにつづく

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