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紅龜粿(âng-ku-kóe)&鼠麴粿(chhí-khak-kóe)

●紅龜粿(âng-ku-kóe / 客家語=紅粄 fùng-pán
 亀の甲羅に似せて作られた紅龜粿(âng-ku-kóe アンクゥクエ / 客家語=紅粄 fùng-pán フォンパン)は、丸一日、水に漬けておいた餅米に、水を少量加えて、臼で挽いて液体にしたものに圧力をかけ、水分を抜いて粿粞(kóe-chhè クエツェ)と呼ばれる塊を作り、この粿粞(kóe-chhè クエツェ)で外側の皮部分を作り、小豆や緑豆、ピーナツ、黒胡麻などで作られた餡を包んだものです。外観は平たい楕円形もしくは円形で、赤く着色されています。上面には亀の甲羅模様や縁起の良い意味を表す漢字が型押しされ、蒸篭や蒸し器などで蒸されます。

 紅龜粿(âng-ku-kóe)は神々の誕生日の時のお供え物としてよく見かけます。主に天公(thinn-kong ティーコン=道教の最高神、玉皇大帝)や三官大帝(sam-koan-tāi-tè サムコアンタイテェ=天界、地界、水界の神)など、地位の高い神々に対してのお供え物として使われます。亀の甲羅模様は長寿を象徴していて、様々な宗教行事、伝統行事の他に誕生日のお祝いなどの時にも準備されます。

紅龜粿(âng-ku-kóe) /奥の緑色のものは鼠麴粿(chhí-khak-kóe)

●鼠麴粿(chhí-khak-kóe)または草仔粿(chháu-á-kóe)、艾粿(hiānn-kóe)  客家語=田艾粄(thièn-ngie-pán)または艾粄(ngie-pán)
 鼠麴粿 chhí-khak-kóe チィカックエ、草仔粿 chháu-á-kóe ツァウアクエ、艾粿 hiānn-kóe ヒアァクエ / 客家語=田艾粄 thièn-ngie-pán ティエンニエパン、艾粄 ngie-pán ニエパンは、農曆(旧暦)7月15日(中元)や新暦の4月5日(清明節)の時に用いられる餅菓子で、挹墓粿(ip-bōng-kóe イッボンクエ)とも呼ばれています。挹墓粿(ip-bōng-kóe イッボンクエ)とは清明節(祖先のお墓参り)にお墓を綺麗に掃除した後に、付近に住む貧しい家庭の子供達に配るという風習に使う餅菓子のことです。この挹墓粿を配るのは、お墓を壊されたり、いたずらされないようにするという目的もあるそうです。

 作り方は、まず、餅米と在來米(インディカ米)に水を混ぜ、捏ねて団子状にしたものを煮て、粿酺(kóe-pôo クエポォ)と呼ばれる餅状のものを作っておきます。そして、餅米と在來米(インディカ米)に砂糖や、鼠麴草や艾草の汁を入れ、先に作っておいた粿酺(kóe-pôo クエポォ)も加えて捏ねあげて糯米糰(chu't-bí-thoân ツウッビィトアン=餅米を捏ねて丸め固めた生地)を作りますす。 そこから鼠麴粿一つ分の量を取り、中に、切り干し大根の千切りや、挽肉、シイタケ、エシャレットなどを炒めた塩味の餡、または小豆餡やピーナツ餡などの甘い餡を入れて成形します。成形の際には押し型が使われることも多いです。そして下にバナナの葉や月桃の葉などを敷いて、蒸し器で蒸し上げます。 草仔粿は、餅米と在來米(インディカ米)に加える草の汁に使う材料によって、名称が異なることもあります。よく見かけるのは鼠麴草 (chhí-khak-chháu)で作られた鼠麴粿(chhí-khak-kóe チィカックエ / 客家語=田艾粄 thièn-ngie-pán ティエンニエパン)、そして艾草(艾 hiānn ヒアァ / 客家語=艾 ngie ニエ)で作られた艾粿(hiānn-kóe ヒアァクエ / 客家語=艾粄 ngie-pán ニエパン) で、葉の爽やかな香りがします。鼠麴草(chhí-khak-chháu チィカッツァウ)は菊科の植物であり、清明節前後に多く生えます。また、鼠麴草(chhí-khak-chháu チィカッツァウ)を使う方が色味が増すので、両方の葉を混ぜて作ることもあります。ホーロー系台湾人はよく鼠麴草(chhí-khak-chháu チィカッツァウ)を使い、客家系台湾人は艾草(艾 hiānn / 客家語=艾 ngie)をよく使います。祖先や土地公(thóo-tē-kong 土地の守り神)を拝む時にお供え物として用意され、経済的に豊かになることを願います。


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