自分語りの美しくなさと向き合う
noteを読んでいると「こんな自分語りなんて」という言葉をよく見る。私も書きながらいつも思っている。自分語りは美しくない、とされるから。秘すれば花、とはよく言ったものだと思う。
noteを始めた時、子育てやこどもの病気について主に書き始めていたので、こどもの患者会の人たちにも「最近noteに書いてて〜」と気軽にお知らせした。それなのに、どんどん話が親である私のことばっかりになってきていて、一度か二度しか会ったことのない患者会の人が読んでいたら、びっくりして、そっとスマホ画面を閉じているだろう。
うちの子は、グルコーストランスポーター1欠損症という、日本に100人程度しか見つかっていない病気で、それがわかった時に、当然ネットで情報を探したが、病院で教えられた指定難病情報センター以上に情報があるページはなかった。
それでも、ほんの数人だけ、病気についてのブログを書いている人をネットで見つけ、それは、全力で掴まるには細いかもしれないけれど、でもキラキラ光る道しるべになった。実際にどんな生活を送っているのか、この先うちの子はどうなってしまうのか、隅々まで何か参考にできることがないかと読み尽くしたし、食事療法で失敗した話や、先生でもわからない症状にぶつかる体験も、貴重な情報だった。
実際に患者会でそのブログの主にお会いできたときは、芸能人に会えたような喜びがあった。病気についてあまりにも情報が少ない中、あのような文章を世に出してくれたことに、今でも言いようのない感謝がある。
(私も、そういう文章が書けるといいな。これから私と同じ道を歩む人の、道しるべになるような)。
noteを始めた動機の1つ目は自分のためだったけれど、その次かその次くらいには、そういう気持ちがあった。それなのに。
今でも私の書くnoteにこどもの話題はよく出てくるが、それ以上に私の存在感が強い。私の読んでいたブログに、こんな自分のことばかり書いている人はいなかった。
先人たちのブログに書いてあったことは、試した食材や、こどもの体調の話、どんな検査をしているか、きょうだいとの過ごし方。そのときあったことを、自分の備忘録として、純粋な情報として、整頓して書かれた文章。
例えば、同じようにこどもの食事のことで悩んでも、私のようにメソメソと書いているような文章ではない。きっと泣きたいほどつらい気持ちもあったであろうに、「困りました」と美しい一言があるだけだったりする。
なんで私は自分の話ばっかりしてしまうんだろう。
友達に会うときもそうだ。会っているときは楽しいけれど、帰るといつも「また自分の話ばっかりしてしまった」と必ず反省する。反省するのに、次に会うとまた自分の話。私の友達はよく私と友達で居続けてくれるな、と思う。noteはその反省の形でもある。友達はnoteを読んでくれていることが多いので、noteに書いた話はせずに済む。私なりの誠意として献上している。
さて。私はここから開き直る。
自分語りが美しくないのは知っている。友達と会ったときには自分のことばかり話さず、バランスよく聞き役に回ることが、大人として正しい。私の生き方は美しくないし、たぶんそれが原因で離れていった友達もいるだろう。
でも、それでも残ってくれた友達は、私の美しくない生き方を、許しているのだと思う(思いたい)。美しい人の美しいモーニングルーティーンが見たい気分のときもあれば、「つらくてつらくて、もうヤダ!」という文章が読みたいときもある。毎日だと重いけど、たまにだったら、私の美しくない生き方もお茶受けくらいにはなる。
私もまた、noteで他の人の「自分語り」を読むのが大好きだ。「私はこういう出来事にはこう思うんだよね」という意見表明や、「私はこういう人間で、だからこういう悩みが生じると思っていて」という自己分析など、どんどん書いて欲しい。単純に、それに共感すると嬉しいし、参考になるし、読んでいて興味深いから。そして、周りがシラフで私だけが一人で酔っ払って自分語りをしていると、さすがに恥ずかしいから、誰か仲間になって、という気持ちもある。
自分語りしている自分が大好き、という猛者は、もう全てを超越しているから良いとして、「自分語りが好きなんだけど、自分語りをしている自分は好きじゃない」という私と同じような人に、自己弁護を含めて私は言いたい。
自分語りは、ちゃんと他人の養分になっている。少なくとも、私は他の人の自分語りから養分をもらって生きている。強い言葉で言えば「人生を晒している」わけで、それほど貴重な情報はない。ちゃんとwin-winですよ、と思う。
「win-winじゃないし!この前会ったとき、あなたの愚痴のボリューム、マジでお腹いっぱいでしたけど!」という、私の数少ない友達へ。苦情は個別に受け付けます。ごめんね!ありがとう!話して元気になったよ!
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