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三月某日 書く速さ、読む速さ

「あれはゆっくり書かれた本だから、ゆっくり読めばよいと思う。」

谷崎潤一郎の『細雪』について、尊敬する先輩がそう言った。

彼は文学の愛好家であり、同時に物語の書き手でもある。
本は読み手一辺倒、表現も発想も世界観も乏しいわたしからすれば、到底思いつかない文学の楽しみであった。


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