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斉藤允巧『日本の脱獄王 白鳥由栄の生涯』 をゴカムファンは読むべきか

 1985年刊行の書籍がいくたびか発行されてきて、『ゴールデンカムイ』受容を受けてか、またでた一冊になります。

囚人は名前と大まかな設定を借りただけだと改めて


 
 姉畑支遁の時点でわかっていたことである、囚人は名前と大まかな設定を借りただけであることがよくわかる一冊。実際の白鳥は、作中のあの人物とは別物です。
 まず時代背景がかなり異なります。本物の白鳥の場合、アジア・太平洋戦争での敗北がかなり心理的に大きい。ゴカムとは親と子くらいの差はありますね。

悲哀が詰まった人生よ

 じゃあ、ゴカムファンは読まなくていいかって? そうは思いません。北海道の脱獄事情も面白いのだけれども、それだけではなく空気感が味わえるんですね。
 この本って、ナマの悪人を知りたい読者側のニーズに応じて書かれているわけですよ。アウトロー文庫というレーベルから出ていたこともあります。
 そういう悪党の心理を知りたいという欲求がかつてはありまして。映画でも「実録」とつく、実在した悪党や犯罪者を描くものもありました。一本の映画で三人の悪党を描くなんて、そういうお弁当みたいな趣向のものもあったんですよ。
 ゴシップ的な悪趣味というよりも、悲哀に心寄せる部分もあった。アウトローというのは社会からこぼれ落ちてしった犠牲者という目線もある。一歩間違ったら俺や親父もそうなったかもしれねえな。そんな気持ちを噛み締めつつ、昭和の読者はこういう本を読んだものですよ。

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『ゴールデンカムイ』アニメ、本誌、単行本感想をまとめました。無料分が長いので投げ銭感覚でどうぞ。武将ジャパンに掲載していました。歴史ネタでより楽しめることをめざします。

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