『おちょやん』23 大正の#Metoo

 父の魔手から逃れ、道頓堀から京都までやってきた千代。住み込みの職場は「カフェー・キネマ」でした。エプロンをつけ、すっかり太正浪漫の女給になったかのような千代ですが……果たしてどうなることやら。

千代はシンデレラガールになれるのか? 

 なんと千代は、黒木という映画製作会社社長から出演を持ちかけられます。どういう映画かというと、徳川家光時代の時代もの。その姫君役だそうです。すごいじゃないですか!
 しかし千代は錯乱。女優,女給,女優,女給! そうガーッと言いだし、「お断りします!」と言い切ってしまう.回答を翌日まで待たせるのでした。
 杉咲花さんをセリフで容赦なく鍛えるNHK大阪。これだけの長いもんを上方のことばでしゃべらせるというのはスパルタにもほどがありますが、それだけ期待をかけているのでしょう。朝ドラは新人登竜門だから、演技が少々いけてなくても許したれというお約束がありました。本作はそうでもないのか。気になりますね。

 富山なまりの真理は、譲って欲しいと言い出す。真理は映画スターになって、男性スタート結ばれて、家族を見返したい! そう思う素朴っちゅうかありがちな動機の子なんですな。
 家族! そう聞いて千代はハッとなってしまう。有名になれば、生き別れのヨシヲと再会できるかもしれへん。『なつぞら』でもありましたが、かつてはそれだけ生き別れになる人が多かったということです。
 『鬼滅の刃』へのツッコミで、「こんなに人がいなくなっても平気なの?」というものがありますが。一世紀前と今ではそのあたりの感覚もかなり違いますから。千代のような動機はあり得るのでしょう。
 千代は竹林に佇み、ビー玉を眺めて家族を思い出しています。ただし、テルヲ以外。テルヲは離散の原因なのでそこはそうでしょう。


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2020年度下半期NHK大阪朝の連続テレビ小説『おちょやん』をレビューするで!週刊や!(前身はこちら https://asadrama.com/

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