『ゴールデンカムイ』#273 鶴見劇場
ヴァシリは双眼鏡でビール工場の火災を見ています。だいたい鎮火した模様。消防士に化けた尾形を見抜き狙撃するも間一髪……もとい余裕で尾形は逃げ、民家内を通過してどこかへ消えてゆきます。
門倉、キラウシと合流か。
アシリパは杉元と合流するも、犠牲に恐れ慄いています。房太郎の遺骸。そして倒れ撃たれたイポプテ。そんなアシリパに腕を伸ばし、見守る杉元です。
牛山を見つけ、アシリパは決然と叫びます。偽物の判別方法がわかったと。
一週間、こちらも気分が悪化するほど悩んだイポプテの生死。菊田に医院へ運ばれます。自分のマキリを作らないうちに死ぬなと言われ、イポプテは目を覚まします。よかった! 菊田は傷を見て、親父さんに守られたと言います。こののち、彼はマキリを作る。そこには父のものとはちがう独自の文様が加わっているのだとか。
ここは素晴らしいと思った。
マキリには、こういう歴史がある。人は消えても、残したものを通じて歴史は紡がれてゆく。小さな郷土資料館にある何かには歴史がある。素晴らしい描写です。
歴史を人に引き込む瞬間を見た! アイヌは生きていて、そこにいた。物語がそう示す。力強い表現です。この場面で、この作品はまた高みにのぼったと感激しました。
イポプテは中央につかない、アシリパと戦うと言い切ります。菊田はゆっくり治せと告げて、また温泉に入ろうと言いつつ去ってゆきます。
イポプテは死なないことがわかった。でも、菊田は? あまりにいい男すぎて不安になる。クライマックスとはこういう緊張感のことでしょう。
教会では鯉登が鶴見に報告しようにも、強い薩摩弁になって二階堂の助けを借りてしまいます。鯉登は月島のアシリパ追跡に何名か連れて行く許可を取ろうとしています。しかし鶴見は、暗号は正しいからアシパは不要だと言い切るのです。
鯉登は鶴見はすごいと心酔している。
しかし、何かおかしい。
アシリパから引き出す鶴見劇場だったと、月島との会話を踏まえて思ってはいる。
そのあと教会の外で、二階堂がビールの臭いを指摘される。鯉登はここでハタと気づく。
鶴見が、自分と月島が観客であったことに気づかないわけがないと。
ここで叫ばない。むしろ思考回路が回り始めました。鯉登は思考回路回し始めると真顔になるのでわかりやすい。冨岡義勇並に無表情になる。
そのうえで考える。知っていたところで、嘘を言っていたわけでもない。対ロシア戦略としてはおかしくない。そしてここに至ります。
月島が「飛びつきたいほど」欲しかったはずの答えを、鶴見は言っていたと。
鯉登の前で、鶴見がいる教会のドアが閉まります。
ホームズVSモリアーティ、鯉登VS鶴見
コメントでも「鯉登が賢くなった!」とかなんとか言われていますが。
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