『ゴールデンカムイ』第42話「甘い嘘」とフェアトレード
まずはじめに。
ご冥福をお祈りします。
それとともに、どれだけ激務なのかと考えてしまいます。『ゴールデンカムイ』はアイヌ紋様にとても気遣っており、そのぶんアニメーターの方も大変だとは聞いております。
そういう激務にふさわしい待遇かどうか。そこは考えたい。
そしてインボイス制度が導入されると、ますますアニメの現場は窮地に陥ります。
フェアトレードという概念があります。人道的に配慮された環境で生産しているかということ。その歴史は古く、たとえばイギリスでは18世紀末から19世紀初頭にかけて、砂糖ボイコット運動がありました。
黒人奴隷をこき使って安く作る砂糖なんていらない! そう訴えられたのです。こういう活動が結実しました。近代イギリスなんて悪いことばかりをしている。それはそうだ。でも、ウィルバーフォースくらいは調べておいて損はありませんよ。
そしてこれはもちろん日本にも関係がある。北海道では松前藩の頃から、アイヌをこき使うことで経済を回してきました。いまだにTwitterでこういうことを書くと絡まれてうんざりさせられますが、そういう浅はかな否認は何も生み出しませんので。
◆有古というアイヌの兵士
有古イポプテから始まる今回。
彼なり、キラウシなり、キロランケなり。成人男性のアイヌと杉元は話あっていないという指摘には考え込みました。日露戦争に従軍したから「戦友」という括りに入れて扱われがちなイポプテ。徴兵制度が始まった明治以降ならではの意識形成といえます。
アイヌの兵士は、失敗すると「これだからアイヌは」と言われるから奮起する。でも功績をあげて、勲章をもらっても、アイヌの待遇は改善されない。
おまけに捕虜になった際、軍が帰還費用を払わず、コタンのエカシ(長老)が費用を捻出したなんて話もある。同じ兵士でも平等どころか一段下のものとして扱われたと。
そういうアイヌであり、兵士であるという属性と、杉元が向き合ったかというとそうではない。
杉元はアシㇼパの幸せは連呼するけれども、それは彼女一人にとどまって、アイヌ全体のことは考えていないのではないか? その疑念はどうしたってイポプテを見ていると考えてしまうんだな。
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