MOE2021年12月号ゴールデンカムイとアイヌの物語
『MOE』2021年12月号[ゴールデンカムイとアイヌの物語を購入しました。
そのうえで、買うべきかどうか、感想をまとめます。
今回の特集はあくまで『ゴールデンカムイ』未読者へのガイドです。イラストの新作はなく、またアイヌ特集ですので、第七師団や土方歳三についての記述はありません。ファンブックとはあくまで別物です。
じゃあ『ゴールデンカムイ』のファンは買わなくていいんだな……ということではありません。むしろこれは薦められます。
ファンなら必読の記事ばかりだ
野田サトル氏のインタビュー。中川裕氏の解説。キロランケのマキリを作った貝澤徹氏のアトリエ訪問と、原作ファンならばたまらない豪華な記事が満載です。
最終章に突入したタイミングでの特集ですから、作品の総まとめといったところもある。野田先生が語る、アシリパを少女にした理由が興味深い。これは必読です。野田先生がいかにジェンダーを配慮しているか、そこがわかります。
以前ネットでみたやりとりですが。
『ゴールデンカムイ』のジェンダー配慮について、ある女性がSNSで発信したところ、こんな反応でした。
「なんも考えてねーしw」
「あんなエログロでフェミ発狂しそうな漫画で配慮とかw」
いや……あんだけ単行本巻末に参考文献があって、何も考えていないわけないでしょ。
自分が何も考えていないから、自分の周囲、とりわけ自分が好きなものの創作者がそうだと決めつけるのは、あまりにおかしいのではありませんか。
『MOE』だからこそできたこと
野田先生は媒体ごとに姿勢を変えているとは当然のことながら思います。『MOE』のように、読者層において女性、とりわけ育児にも関わる年代が想定させるとなれば、いつもとはちがうトーンになってもおかしくはない。そういう意味において、このインタビューは貴重です。青年誌向けに悪ノリするボーイズクラブとは別の姿勢であるがゆえに、なかなか出てこない本音が引き出せているとみた。
野田先生は漫画以外のインプットも相当多い上に、たとえば和月伸宏先生のようにあけっぴろげにしておりません。ゆえに推察するしかありませんが、その材料となる発言もあります。
『ゴールデンカムイ』を深掘りしたいのであれば、これは必読です。
作中に登場する工芸品や衣服の本物の写真がある。アイヌの絵本の紹介もある。絵本、音楽、料理……幅広く網羅しており、アイヌ文化の紹介としても、ファン向けのものとしても、両方極めて高いクオリティである。そんな素晴らしい特集なので、これは必須のものだと思います。
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