『おちょやん』56 NHK大阪が戦前検閲知らんわけないやろ!

 嫁いで一ヶ月、新婚さん状態のみつえと福助。トランペット指導というアチアチなラブラブっぷりに、周りも困っとります。よせばいいのに、宗助まで店内にいるあたりおかしいやろ! 千代も真剣に見つめすぎて、突っ込まれてます。けれども真剣な役作りだそうで。実は3時間前……。

前座『若旦那のハイキング』

 千代は役作りやね。
 鶴亀家庭劇は千之助にトリを任せ、前座『若旦那のハイキング』で新境地を開拓したいそうです。一平が主演のラブストーリーやで。みつえと福助がモデルとなった、いわば“ロミオとジュリエット”ものです。この作りは古今東西王者やね。韓流『王女の男』なんてのも名作ですし、今なら『愛の不時着』ですよ!
 やっぱり、人間普遍の真理があるとみた。どんな立場を超えてでも愛し合う。そういう姿に感動するわけよ。
 相手役は香里が立候補しますが、社長直々にトリにしか出せないと命令が出ているそうです。やっぱり華があると浮かれる香里はかわいい。歌劇から鶴亀家庭劇に回される時点でそんなんお前……というツッコミはええから、そこはね。
 結局相手役は千代になったと。だからこそ役作りをしている。
 これも千代という女性のかわいそうなところやな。千代は、命懸けで愛する女の気持ちがわからんのです。まあ、それもしゃあないと思う。テルヲを見とったら、愛に不信感芽生えるでしょうし、生まれつきの性格もありますし。
 女なら情念に燃えたぎるって? そういう甘いもんやないと思います。

嫁の気持ち、姑の気持ち、そして母の気持ち

 そんなみつえだって甘いだけやない。姑の菊が晩の支度をするようにきつい声で言います。けれども福助がそんな姑をたしなめると、なんとみつえは女同士の団結を発揮し、菊をかばいます。なんで男が悪役なんや〜そう愚痴ると、男の先輩が結婚は忍耐やと言い切ります。みつえは明るく味を習いたいと言います。
 おっ? ええやん、NHK大阪がやりおったでぇ!
 嫁姑のいじめちゅうんは日本と韓国くらいがやりたがるパターンや。一種のミソジニーとされとる。朝ドラはモデルでは対立してなくとも無理矢理ねじこみおるからな。ええ加減古いと呆れとったとこ。それを改善してきたで! ってすんまへん、NHK大阪は『スカーレット』でも姑と嫁がなかよしでしたね。
 そして不穏なことといえば、治安もある。
 みつえと福助の祝言の際にボヤがありました。道頓堀は皆、そのことで浮き足立っているとか。なんやろな、ヤクザもんかな?
 シズは千代からみつえの話を聞いています。選んだ道やと突き放すようで、心配でもあるようです。かめはこっそりと、ごりょんさんはみつえを心配してると千代に打ち明けます。かといって、夫とちがってみにいくわけでもない。シズらしいですね。

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2020年度下半期NHK大阪朝の連続テレビ小説『おちょやん』をレビューするで!週刊や!(前身はこちら https://asadrama.com/

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